和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年07月24日(水)

「平成の終わり」

 平成という時代をどう締めくくるか。元号は天皇制に結び付くから、天皇、皇后両陛下の活動が回顧の中心になる▼例えば、脚本、演出家の倉本聰氏は最近の著書『ドラマへの遺言』(新潮新書)でこんな話を紹介している。両陛下が氏の自宅を訪問された時、膝をついてご自分の靴をそろえ、向きを変えられた。出ていかれる時にも土間に膝をつき、スリッパの向きを変えられた、と▼以前、韓国の女性記者が日本のこの風習を理解できず、招かれた家の主婦に自分の靴を外向きにされたことを帰国後、著書に「私に早く出て行けという意思表示で、非歓迎の印だ」と書いたことがある▼そこまで言うのは極端としても、日本でもいまはこんな美風はかなり廃れているだろう。私自身、客を招いても自分が客になっても、こんな心配りを実行したことがない▼災害が非常に多かったのが平成時代の特徴だった。そのたびに両陛下は災害地を訪問されたが、現場ではいつも地べたに正座され、被災者に向き合われたことは、新聞報道などでよく知られている。「同じ高さの視線で接する」ことを基本とされていたのだ▼倉本氏は、ゲストの両陛下がこんな作法、心遣いを当たり前のように示されたことに「そこまでされるのか」と衝撃を受けたという。だが、そこは名代の脚本家。「そうだ、天皇家は日本の作法の家元なんだ」と、無理やり自分を納得させたと書いている。(倫)