和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月04日(水)

【詳報】冨安県議(日高選出)ら逮捕 道路工事入札巡り、元県建設部長も、和歌山県警

冨安民浩容疑者
冨安民浩容疑者
捜索のため段ボール箱を抱え県日高振興局に入る捜査員(26日午後7時ごろ、和歌山県御坊市湯川町で)
捜索のため段ボール箱を抱え県日高振興局に入る捜査員(26日午後7時ごろ、和歌山県御坊市湯川町で)
 和歌山県警は26日、昨年執行された県日高振興局建設部発注の道路工事の総合評価落札方式条件付き一般競争入札で、秘密事項に当たる入札情報を公表前に教えるよう依頼したとして県議の冨安民浩(本名・民夫)容疑者(76)=日高町高家=を地方公務員法違反(そそのかし)の容疑で逮捕した。また、情報を漏らしたとして当時の同振興局建設部長、柳岡太容疑者(61)=御坊市島=を同法違反(情報漏えい)の容疑で逮捕した。


 当時、建設会社「清水」の社長で、日高川町建設業協同組合代表理事だった清水達成容疑者(61)=日高川町船津=も同法違反(そそのかし)の疑いで逮捕。県警は3人の認否を明らかにしていない。

 建設部は昨年5月に県道御坊美山線の土砂災害対策道路工事の入札、9月に県道井関御坊線の改良工事2件の入札を執行した。県警によると、清水容疑者は御坊美山線の工事入札、冨安容疑者は井関御坊線の工事入札2件について、それぞれ入札実施日に、柳岡容疑者に対し最高評価値入札者と次点の入札者を教えるよう電話で依頼した疑いがある。柳岡容疑者は今年3月に県を退職するまで建設部長で、その情報を知り得る立場だった。県警は、冨安容疑者と清水容疑者の関係性や、情報をどう利用したとみているかは明らかにしていない。

 県によると、最高評価値入札者が決まれば技術提案書を提出するよう通知。提出されれば落札者となり、公表される流れ。通知から2日以内に提出がない場合、失格となり、次点入札者に提出を求める。今回の入札3件については、最高評価値入札者がそのまま落札者となっているという。

 冨安容疑者は日高郡選出、自民党所属で、9期目のベテラン議員。2009年6月から10年6月まで議長を務めた。

■日高振興局を捜索

 冨安容疑者らによる地方公務員法違反(情報漏えい、そそのかし)事件を受け、県警は26日夜、御坊市湯川町の日高振興局を捜索した。

 午後7時から、県警の捜査員約20人が段ボール箱を持ち、足早に庁舎1階の建設部などに入り、資料などを押収した。県警によると、段ボール約10箱分を押収したという。

■自民県連「誠に遺憾」

 自民党県連の中村裕一幹事長は「誠に遺憾。今後の推移を見守りたいが、県民の皆さまにご迷惑をおかけし、おわび申し上げる。かかることが二度と起こらないよう清潔な政治活動に努める」、現職県議の逮捕について、県議会の鈴木太雄議長は「容疑内容が事実であれば、大変遺憾。多くの方々にご迷惑とご心配をおかけし深くおわび申し上げる。重く受け止め、今後も厳粛で規律正しい県議会運営に当たっていく」とコメントを出した。

 また、元県職員の逮捕について岸本周平知事は「誠に遺憾であり、捜査の進展を見守りたいと思う。警察の捜査には全面的に協力していく」とコメントした。

 現職県議の逮捕については、2015年、同じ日高郡選出で自民党所属議員(当時)が、脱税事件に絡んだとして大阪地検特捜部に逮捕されている。