和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月19日(土)

「政治家の発言」

 今回の統一地方選前半戦で、職務を離れて注目していたのが福岡県知事選である。同県選出の麻生太郎副総理を中心に自民党が推薦した新顔と、それに反発する人たちの支持で3選を目指した現職との戦いに、有権者がどんな判断を示すのか興味があった▼縁もゆかりもない福岡の知事選に、なぜ興味を持ったのか。それは選挙期間中、自民党推薦候補の応援で現地に入った当時の国土交通副大臣、塚田一郎氏が下関北九州道路を国直轄事業に採択したことに関して「首相や副総理が言えないから、私が忖度(そんたく)した」と演説。それを国会で追及され、辞任に追い込まれたからである▼この件だけではない。このところ、国政では森友学園や加計学園の問題や毎月勤労統計の不正など「忖度政治」が疑われる出来事が相次ぎ、強い批判にさらされている。そのさなかに副大臣が自らが管轄する件で「私が忖度した」と公言、野党から追及された。最終的に辞任したが、当初は首相も副総理も「辞任の必要なし」としていた▼「さて、有権者はどう判断するのか」と見ていたら、結果は無所属で戦った現職が自民党推薦候補の4倍近い約130万票を集めて当選した。政治家の傲慢(ごうまん)を有権者の理性が打ち破ったのだ▼平家物語に「おごる平家は久しからず」とある。それは国会議員や地方議員、知事や市町村長も同様である。有権者を軽んじてはならない。(石)