和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年04月10日(金)

「耳の地蔵さん」例祭に向け木とセミの抜け殻準備

参拝者に配る木に穴を開ける山本照一さん(22日、和歌山県古座川町添野川で)
参拝者に配る木に穴を開ける山本照一さん(22日、和歌山県古座川町添野川で)
 和歌山県古座川町添野川にある「耳の地蔵さん」で31日正午から営まれる例祭に向け、地元世話人代表の山本照一さん(83)が、参拝者に配る穴の開いた木とセミの抜け殻を準備している。当日までに約100組をそろえるという。

 「耳の地蔵さん」と呼ばれている薬師如来像は、県道すさみ古座線沿いの小山のほこらに安置されている。耳の病に霊験があると信仰を集めていて、参拝者は「耳がよく通るように」と穴の開いた木、「音がきれいに抜けるように」とセミの抜け殻を供える。

 地蔵はもともと現在地の下手約50メートルの場所にあったが、七川ダム(1953年着工、56年完成)の建設に伴い、弁財天像、如意輪観音石像、徳本上人石塔と共に移された。例祭は毎年、旧暦の1月7日に営まれている。

 山本さんは毎年、祭りの約1カ月前から、山で採ってきた直径約5センチのスギの木の皮を剝ぎ、磨いた後、のこぎりで輪切りにし、真ん中にドリルで穴を開け、紙やすりなどで磨いている。セミの抜け殻は7~8月ごろ、近くの畑などで集めているという。

 山本さんによると、もともとは地元住民らが、くぎなどで穴を開けた石とセミの抜け殻を持参して地蔵に供えていたが、多くの人に参拝してもらおうと、2001年から準備をするようになった。

 祖母が自分のために参ってくれていたことや、自分が孫のために参った縁もあったという。地域住民が毎日、地蔵の周囲をきれいに清掃している姿に刺激を受け、祭りの準備を手伝うようになった。当初は、10センチほどの平らな石にドリルで穴を開けて配布していたが、参拝者が増え、作業が追い付かなくなったため木に変更。最近はセミの数が減り、殻を集めるのも苦労しているという。

 山本さんは「例祭には毎年、町内外から多くの人が来てくれてありがたい。お地蔵さんのお世話をさせてもらっている地域住民はおかげさまで、みんな元気で健康」と話している。

 例祭は雨天決行。僧侶による読経や餅まきも予定している。申し込みなどは必要なく、自由に参列できる。

 問い合わせは山本さん(090・5044・2054)へ。