和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月16日(日)

巨大地震に備え一斉訓練 和歌山県田辺市

救急救命訓練を体験する参加者(18日、和歌山県田辺市下万呂で)
救急救命訓練を体験する参加者(18日、和歌山県田辺市下万呂で)
災害時の寝袋などとして活用する「おまもりぶくろ」の説明を受ける参加者ら(18日、和歌山県田辺市上秋津で)
災害時の寝袋などとして活用する「おまもりぶくろ」の説明を受ける参加者ら(18日、和歌山県田辺市上秋津で)
 近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震に備え、和歌山県田辺市は18日、市内各地で防災訓練をした。32自治会の2万2754人が対象。参加者は安全な場所への避難や避難所の設営、救急救命や物資輸送などを体験し、防災への意識を高めた。


 訓練は、南海トラフを震源とするマグニチュード9・1の海溝型巨大地震が発生し、市内で震度7の揺れを観測したと想定。県沿岸部に大津波警報が発表され、山間部でも家屋の倒壊や土砂崩れが発生したとした。

 参加者は防災行政無線を合図に、最寄りの一時避難場所へそれぞれ避難。その後、各会場に移動して体験訓練をした。

 同市下万呂の会津小学校では、担架作成や救急救命、アルファ米の試食などのブースを設けたほか、自衛隊が救助活動に使う道具の展示解説もあった。

 会津小の児童も授業日として参加し、真剣な表情で取り組んだ。

 市危機管理局の茨善行局長は「今年は阪神大震災から30年。こうした訓練をきっかけに、いま一度、自分ごととして各家庭での備えをしっかり意識してほしい」と語った。

 秋津町の町内会長で自主防災会長でもある中田康彦さんは「小学生や若い世代も多く参加してくれてよかった。自主防災の大切さを、次の世代にも引き継いでいきたい」と話した。

 上秋津小学校では、同校児童と上秋津中学校生徒、地域住民約90人が参加した。

 小学6年生や中学生、地域住民は体育館に集合。防災士の石山雅美さん(田辺市天神崎)から、地震で起こりうる災害や備えなどについて映像を交えながら学んだ。実際に災害時用寝袋兼敷物の「おまもりぶくろ」を広げたり、災害時のトイレについて説明を受けたりした。

 小学1~5年生は、けむり体験や非常用のトイレセット作りなどを体験した。

 訓練に参加した地元の竹田徹さん(76)は「防災用品の扱い方を学び、改めて防災意識を高めることができた。備蓄品を用意しておくなど、身近でできることから災害に対する備えをしていきたい」と話した。

 市内ではこのほか、ドローンによる物資輸送訓練やアルファ米を使った炊き出し訓練などをした会場もあった。

 市の防災訓練は、市内をA、B、Cの3ブロックに分けて毎年1ブロックずつ実施。本年度は旧市内の秋津谷や三栖谷、龍神村の龍神、中辺路町の二川、大塔地域の富里、本宮町の本宮地区が対象だった。