和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月16日(日)

芝焼く炎 幻想的 本州最南端の火祭り、和歌山県串本町潮岬

芝を焼きながら広がっていく炎(和歌山県串本町潮岬で)
芝を焼きながら広がっていく炎(和歌山県串本町潮岬で)
火矢射式で火が付いた矢を放つ串本古座高校の弓道部員
火矢射式で火が付いた矢を放つ串本古座高校の弓道部員
手作りのモデルロケットを打ち上げる子どもたち
手作りのモデルロケットを打ち上げる子どもたち
 和歌山県串本町潮岬の望楼の芝で18日、「本州最南端の火祭り」(南紀串本観光協会主催)があり、芝を焼く炎が幻想的な光景を作り出し、多くの見物客を魅了した。


 火祭りは、害虫を駆除し、新芽の生育を促すために行っていた芝焼きを観光振興に生かそうと1997年からイベント化。南紀串本観光協会によると、今年は約3千人が訪れた。

 午後5時半ごろから、串本古座高校の弓道部員による「火矢射式」が執り行われた。代表部員10人が登壇し、5人ずつ横一列に並んで、先端に火が付いた矢を芝に向けて放った。全ての矢を放ち終えたタイミングで花火が打ち上がり、観光協会のメンバーがたいまつを持って芝に火を付けて回った。目の前で炎を見た来場者は「きれい」「あたたかい」などの言葉を口にしながら写真や動画の撮影を楽しんでいた。

 芝焼きの前にあった式典では、観光協会の島野利之会長が「良い天気に恵まれ、とてもうれしく思う。ロケットの関連などで、たくさんの方に町にお越しいただくと思うが、観光協会としても、皆さまに楽しんでもらえることを考えていきたい。今日は時間いっぱいまで楽しんでください」とあいさつした。

 観光協会が主催した火薬で飛ばすモデルロケットの打ち上げ体験会では、小学生4人が全長約30センチのミニロケットを作った。発射台に設置して安全確認のかけ声をした後、点火ボタンを押すと一瞬で上空に飛び上がり、パラシュートで落下してくる様子を楽しんだ。

 和歌山市から兄弟で参加した小学5年の尾﨑大和君は「きちんと飛ぶように、部品の接着などに注意しながら作っていくのが難しかった」、弟で小学1年の壮真君は「(自分のロケットが)飛んでうれしかった。持って帰った後は部屋に飾る」と話した。

 トビウオのつみれが入った「しょらさん鍋」の振る舞いは、開始前から大行列。800人分を用意していた鍋があっという間に空っぽになった。

 ほかにも、飲食や雑貨など計27店舗の出店、各保存会のメンバーによる串本節や潮岬節の公演、町トルコ文化協会によるトルコ舞踊の披露など、日中から夕暮れまでさまざまな催しがあり、家族連れや写真撮影に来た人でにぎわった。