和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年02月12日(水)

熊野三山 乗り換えなしで 訪日客増受け バス実証運行、和歌山

実証運行が始まった「熊野三山ライナー」(21日、和歌山県田辺市本宮町で)
実証運行が始まった「熊野三山ライナー」(21日、和歌山県田辺市本宮町で)
 熊野三山などを乗り換えなく直行で巡ることができる循環バス「熊野三山ライナー」の実証運行が21日から始まった。増加するインバウンド(訪日外国人客)に対応するための熊野御坊南海バス(本社・和歌山県新宮市)の取り組み。2月5日まで運行し、今後の本格運行につなげたいという。


 この取り組みは、地域交通の維持や活性化を図る事業を国土交通省が支援する「共創・MaaS(マース)実証プロジェクト」に選ばれている。運行費用の3分の2が国交省から補助される。

 熊野三山を擁する田辺、新宮、那智勝浦の3市町が広報面で協力する。

 同社によると、現在、熊野本宮大社(田辺市)や熊野速玉大社(新宮市)、熊野那智大社(那智勝浦町)などを路線バスで巡る場合、三つの路線バスを乗り継がなければならず、1日で巡るのは時間の余裕がない。さらに、増加するインバウンドが地域住民の足である路線バスを圧迫してしまうケースも出ていることから、今回の事業を計画した。

 熊野三山ライナーは乗客定員50人(座席定員制)の大型バス2台で運行。田辺市本宮町の本宮大社前と那智勝浦町の紀伊勝浦駅のバス停をそれぞれ出発し、1日各3便運行する。

 本宮大社前を出発する便は第1便が午前7時50分発、第2便が午前10時49分発、第3便が午後3時3分発。本宮町にある湯の峰温泉や川湯温泉などを経て速玉大社に向かい、さらに那智大社や青岸渡寺がある那智山(第3便は除く)を巡った後、3時間ほどかけて紀伊勝浦駅に到着する。

 運賃は中学生以上が500~3千円で、小学生以下は250~1500円。詳しい時刻表などは同社のホームページで確認できる。

 同社の担当者は「時間帯や季節によっては路線バスが海外の方であふれ、オーバーツーリズム的な対策も取らなければならないと考えた」と話す。メインの観光スポットだけを周遊するバスに観光客を誘導し、路線バスは地域の人らに利用してもらって運行が順調にいくようにしたいという。

 問い合わせは熊野御坊南海バス(0735・22・5101)へ。