和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年03月28日(金)

「利益生む用途づくりを」 梅剪定枝バイオ炭で勉強会、SDGs和歌山県みなべ町

チップ加工した梅の剪定枝を炭化炉でバイオ炭にする作業を見学する参加者(21日、和歌山県みなべ町清川で)
チップ加工した梅の剪定枝を炭化炉でバイオ炭にする作業を見学する参加者(21日、和歌山県みなべ町清川で)
 和歌山県みなべ町のSDGs(持続可能な開発目標)未来都市事業のうち、持続可能なまちづくりに向けて住民が主体的に学ぶ場「梅ラーニングコモンズ」の「バイオ炭」グループ(真造賢二リーダー)は21日、同町清川で、炭化炉による梅の剪定(せんてい)枝のバイオ炭化実演と、勉強会を開いた。関係者ら約20人が参加し、バイオ炭の活用方法などについて学んだ。

 町は、昨年5月に国の「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」に選ばれた。梅産地として、処理が課題になっている梅の剪定枝を用いたバイオ炭の製造と活用は、町が掲げるSDGsモデル事業の柱の一つ。2026年度までの3年間で、梅の剪定枝をバイオ炭化し畑に用いることで二酸化炭素(CO2)削減や土壌改良など、環境に配慮した循環型農業システムの確立を目指す。

 町は、梅の剪定枝のバイオ炭化などをみなべ川森林組合に、バイオ炭化によるCO2削減量の数値化などを立命館大学日本バイオ炭研究センター(大阪府茨木市)に委託している。

 この日は、バイオ炭化を推進する町民有志の団体「みなべ梅wo炭(ばいおたん)クラブ」のメンバーや森林組合理事、立命館大の関係者らが参加した。同町清川の森林組合敷地内に設置した炭化炉で、チップ加工した梅剪定枝の炭化実演を見学した。

 その後、町が導入した炭化炉の製造会社の研究部門「高槻バイオチャーエネルギー研究所」(大阪府高槻市)の島田勇巳所長が講師を務め、清川公民館で勉強会を開いた。島田所長は「大事なことは、バイオ炭化することでお金が回り、事業として展開できること。出口(用途)を考えながら、地域に根差して進めることが大切」と訴えた。

 島田所長は、バイオ炭には主に土壌改良、燃料、飼料(家畜やペットの餌に混ぜる)、埋設(炭素貯留でCO2を削減する)、浄化といった有効性があることを説明。「用途開発が地域資源の循環を持続可能にする」として、バイオ炭で作ったバーベキュー炭をブランド化して販売することや、土壌改良炭として活用し「J―クレジット」も取得すること、温水熱源としてボイラーなどの燃料として活用することなど、全国の自治体の事例を紹介した。「みなべ町ではどのように活用するか、お互いにアイデアを出しながら考えていきたい」と話した。