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2019年12月12日(木)

1世紀前のノート忠実に再現 熊楠資料のレプリカ公開へ

和歌山県田辺市に寄贈される南方熊楠「ロンドン抜書」のレプリカ(富士ゼロックス京都提供)
和歌山県田辺市に寄贈される南方熊楠「ロンドン抜書」のレプリカ(富士ゼロックス京都提供)
 世界的な博物学者、南方熊楠(1867~1941)の手書きノート「ロンドン抜書」の質感や色合いを忠実に再現したレプリカが複合機大手「富士ゼロックス」(東京都)の協力で完成した。3月に常設展示をリニューアルしたばかりの南方熊楠顕彰館(和歌山県田辺市中屋敷町)で近く公開される。

 同社が自らの技術を活用し、2008年から取り組んでいる社会貢献活動で、和歌山ゼロックス(和歌山市)から寄贈される。

 ロンドン抜書は、熊楠が1895年から1900年にかけ、英国ロンドンの大英博物館などで旅行記や民俗学といったさまざまな文献を書き写したノート。英語やフランス語、ドイツ語などの文献を抜き書きしている。

 縦23センチ、横17・8センチ、258ページの同型のノートで、全52冊。うち49冊が熊楠顕彰館で、3冊が南方熊楠記念館(白浜町)で所蔵されている。熊楠の学問的な基礎となる貴重な資料だが、劣化が進み、ページを開くのが困難なものもあるという。

 レプリカの製作は、紀伊民報の紹介がきっかけで実現した。復元したのは1冊目のノートで、昨年7月から富士ゼロックス京都(京都市)で作業を開始。原本をスキャンしてデジタル化し、データを編集して元の材質に近い紙に出力した。製本やインクのにじみなども忠実に再現されているという。

 さらに、レプリカをスマートフォンでかざすと、熊楠研究者で龍谷大学教授の松居竜五さんがロンドン抜書について説明する動画が閲覧できる機能もある。