和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年02月25日(火)

流行りの“オラオラ系”顔面へのアンチテーゼ?  ある自動車販売店が“レトロかわいい顔面”を作り続ける理由

”凶暴化”とは無縁のレトロかわいいクルマ(ピコット 写真提供/モデストカーズ)
”凶暴化”とは無縁のレトロかわいいクルマ(ピコット 写真提供/モデストカーズ)
 低燃費化や、プラットフォームの共通化などで「没個性」化が進む、現代の新車。そんななかでも「個性」を出そうとしているのか、車の「顔面」(フロントグリル)の凶暴化(いわゆる、オラオラ系)が進んでいる。そんな時代へのアンチテーゼのように神奈川県相模原市にある「モデストカーズ」では既存の車をベースに、専用パーツで外見を変えた“レトロかわいい”クルマを制作している。なぜこうした”かわいい“顔面を生み出しているのか?また、現代の“オラオラ系”顔面の車に何を思うのか?モデストカーズ代表の田中伸幸氏に話を聞いた。

【写真】凶暴化とは無縁!ありそうでなかった”レトロかわいい”クルマフォトギャラリー

人と違うクルマに乗りたい 「永く愛されるために」と考えたレトロデザイン

 田中氏が、既存車をカスタムした“レトロクルマかわいい”クルマを製作し始めたのは、今から17、18年前。そこにはある思いがあった。
「信号で止まった時、同じクルマが2台並んでいる光景が好きではないんです。人と同じではなく、違うクルマに長く愛着を持って乗りたい、という思いを持っていて。では、長く乗れるデザインはなんだろう、と考えたときに、時代を問わず飽きない旧車のような『レトロ』なデザインが、これからも永く愛されるのではないかと考えたんです」

 「ほかの人と違うクルマに乗りたい」という同じ思いを持ったユーザーのために、あるこだわりを持って開発を開始。そこには多くの苦労があったと思うが、田中氏は当時を振り返り、笑う。
「せっかく開発するのであれば、『いかにもカスタムしています』みたいなものではなく、メーカーから出ているような、違和感がないデザインとクオリティを目指しました。カスタムしているクルマが走っているのではなく、『あのクルマカッコいい、かわいい、どこのクルマだろうね?』と、思ってもらえるのが理想です。開発にあたり、苦労はあったと思いますが、夢中でしたので楽しかった思い出しかありません(笑)」

 これまで販売してきたクルマは1500台以上。その多くが田中氏と思いを共有している。
「喜んでいただいていると…思いたい(笑)。クルマをただの足ではなく、主役でなくても生活に潤いを添えるよう存在であってほしいと思います」

あおり運転との因果関係は「“顔面”の凶暴化」よりも「車種」

 そんな田中氏は、近年の「没個性」から「“顔面”の凶暴化」など、現在に至るまでの「新車」のデザインの変遷をどう見ているのだろうか?
「ある程度世相は表していると思います。今でしたら衝突安全、低燃費エンジン、歩行者保護、税制、といったことを土台としてデザインが行われていると思います。そのなかでも最近出たクルマを見ても特徴のあるデザインが増えてきています。(「“顔面”の凶暴化」については)個人的な好き嫌いは別として『攻めて』いて良いと思います。万人受けするようなデザインは誰からも支持されないですし、アンチがいるぐらいのほうが良いと思います。また『この顔だったらこのメーカー』というブランド統一にも役立っていると思います」

 昨今、社会問題になっている「あおり運転」と、この「“顔面”の凶暴化」を結びつけるのは、いささか乱暴だろうか?
「私は、因果関係はないのではないかと思います。ただ、見た目のイカツさよりは『車種とアオリ率』の相関関係はあるかもしれません。凶暴化されたグリルの車でよくあおってくる車種がパッと思い浮かびますが、昔の凶暴ではない顔のときでも乱暴な運転の方が多かったです。あおってくる人が好むクルマが、凶暴化された顔になったのでは、と。顔が怖くなったから運転も凶暴になったということはないと思います。もっとも、私たちが作っている“凶暴化”とは真逆のクルマをお選びいただいたお客様のなかで、あおり運転をしそうな方はいらっしゃいませんが(笑)」

メーカーはカスタムベース車を開発 個人が思い思いにカスタムしていく時代

 では、今後クルマのデザインはどう変化していくのだろうか?最後に興味深い話を聞かせてくれた。
「先ほども少しお話ししましたが、万人受けするようなクルマが減って、より個性的なクルマが増えていくと思います。それと、先日あるメーカーの方とお話させていただく機会があったのですが、私どもが行っているようなカスタマイズが、今後増えていくと考えているようで、『どういった車だったらカスタムしやすいか?』というのを聞いてこられました。メーカーでカスタム車やレトロなデザインの車輌を量産するというよりは、カスタムのベースになるような車輌を販売して、ユーザー様によりカスタマイズなどオリジナリティのある車に乗って楽しんでもらおうと考えているようです。
 本当にそういったクルマが発売されるかはわかりませんが、自己表現としてのクルマ、愛着を持って永く所有したくなるクルマ、大メーカーさんはやらないけど、『そういうの待ってたよ~』と思ってもらえるようなクルマを作っていくことが、私たちの役割かなと思っています」

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提供:oricon news