和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年11月13日(水)

「花を訪ねて」

 先日の休みは、花の名所を訪ねて田辺の市街地から近郊を歩いた▼最初に向かったのは高尾山。奇絶峡の登山口から急な山坂を登り、目当てのツツジを訪ねる。毎春、花の時季には必ず歩いているから様子は分かる。1時間も歩かないうちに尾根に到着。ピンクのツツジが咲き誇っている。眼下に田辺市街と田辺湾の眺望が広がる。「春の海」という言葉がぴったりする▼周りでは小鳥がピッピー、ピーと鳴いている。ときおりウグイスの鳴き声も聞こえる。姿は見えないが、その鳴き声だけで春の息吹を感じる。見渡せば、ミズキやコナラの淡い新芽が山に彩りを添えている▼「午後からは小雨も」という予報に伴い、頂上までの登山は諦めて下山。昼食を取った後、雨傘を手に新庄総合公園に向かう▼そこは花の楽園。花壇では丹精込めて育てられたチューリップが満開。人の姿もなく静かなため池のほとりに出ると、サクラが盛んに散っている。風が強まると、舞い散った花が池の水面を覆っていく。花吹雪、花筏(いかだ)という言葉がそのまま目の前に現れている▼花が咲き、緑がもえる。梅の実は日に日に大きくなっていく。住まいから少し足を延ばせば、そういう大地の営みが全身で味わえる。黄砂の害も少なく新鮮な空気が胸いっぱいに吸い込める▼かけがえのない宝物。この環境を大切にし、後の世代につないでいかなければと決意を新たにした一日だった。(石)