和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年07月18日(木)

すさみ町ダブル選 将来像示す論戦を期待

 任期満了に伴うすさみ町の町長選と町議選(定数10)が16日、告示された。正午現在、町長選には元町長の橋本明彦氏(59)と現職の岩田勉氏(69)が立候補し、町議選には12人が名乗りを上げた。21日に投開票される。

 今回の選挙で選ばれる町長や町議の任期は「令和」時代の幕開けと重なる。新しい時代のすさみ町をどう導いていくのか。各候補者には、すさみ町の現状と課題を見据えて展望のある政策を掲げ、丁寧な論戦を望みたい。

 町の将来像を考える時、まず思い浮かぶのは人口減少と少子高齢化である。3月末現在の人口は4009人。14歳以下は306人で、65歳以上の高齢者が1896人。高齢化率は47・3%になる。

 統計によると、町の人口は1945年をピークに減少を続け、高齢化率も60年以降は、国や県の平均を上回りながら推移してきた。

 何をするにしても、その土台は人の力である。将来の人口推計を考えても、真剣に向き合わねばならない問題だ。これからも町民が安心して暮らしていけるよう、少しでも歯止めをかける施策を実行していく必要がある。

 一方、少し視点をずらしてみれば、人口減少が進む自治体の先頭走者と見ることもできる。「すさみの道は、他の市町村が今後歩んでいく道に通じる」という気概を持って取り組んでもらいたい。

 もう一つ、大きな課題がある。大地震に備えた防災・減災対策の継続である。人口が集中している地域では大きな被害が予想されており、町はこれまでも津波避難タワーや避難ビル、防災センター、避難路などのハード整備を進めてきた。いざという時にこれを生かせるように住民の防災意識を高めることを続けてもらいたい。

 厳しい現実を嘆くだけでは未来は開けない。農林水産業や観光業など、地域特有の資源を生かした施策に力を注ぎ、地域を元気にしていく視点も必要だ。

 幸い、江住地区にある道の駅近くに民間企業が宿泊施設を建設予定という明るい話題がある。この好機を逃す手はない。海も山も川もある町の魅力と絡め、誘客に努めるべきだ。近い将来、高速道路は紀勢自動車道すさみ南インターチェンジ以南に延びていく。町を「通過点」にしないためにも、迅速な対応が求められる。

 こうした諸課題について、何をどうするのか。町長選に立候補した2人には、自身の考えと展望を丁寧に訴えてほしい。

 町議選に立った人も同様だ。住民の声を町政に届けると同時に、時に町政を応援するアクセルに、あるいは自制を求めるブレーキ役になることが求められる。当選すれば目的達成ではなく、その職責をどう果たすかが勝負である。

 人口の少ない町だから血縁や地縁の持つ価値は大きい。それが判断材料になることもあるかもしれないが、町の将来に影響する大切な選挙である。町長、町議選ともに、各候補の訴えに耳を傾け、尊い票を投じてもらいたい。(N)