和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年05月22日(木)

古座川の温かい支援に感謝 トンガ王族の随行で来日、祖父が町出身のエイコさん、和歌山

子どもたちからプレゼントを受け取り、日本語で「ありがとう」と伝えるロビーナ・エイコ・ナカオさん(左)=和歌山県古座川町一雨で
子どもたちからプレゼントを受け取り、日本語で「ありがとう」と伝えるロビーナ・エイコ・ナカオさん(左)=和歌山県古座川町一雨で
明神小学校・中学校の児童生徒と交流したロビーナ・エイコ・ナカオさん(3列目中央)ら
明神小学校・中学校の児童生徒と交流したロビーナ・エイコ・ナカオさん(3列目中央)ら
 トンガのロビーナ・エイコ・ナカオさん(62)と息子のウィリアム・ムサシ・ナカオさん(20)が21日、和歌山県古座川町を訪問した。2022年にトンガで発生した海底火山の大規模噴火の際に島民に励ましのメッセージを贈った明神小学校・中学校(古座川町一雨)の児童・生徒に感謝を伝えた。エイコさんの祖父が同町出身というつながりがあり、子どもたちと交流も深めた。

 町史などによると、エイコさんの祖父にあたる中尾重平氏は現在の同町大柳出身。船大工として1919年にトンガに渡り、27年に国王のめいと結婚した。その後、理髪業やタクシー業などを経営し、64年に78歳で死去した。

 また、重平氏の長男で、トンガの農政大臣などを務めたシヨタメ・ツトム・ナカオ氏は、73年に舞踏団を率いて来町。明神小学校で歓迎式が開かれ、トンガ舞踊を約300人の町民の前で披露したという。

 エイコさんらは、大阪・関西万博であった「トンガ記念日」(18日)に参加する王族に随行して来日した。この日は中尾家の墓参りもして、祖先のルーツをたどった。

 この日、体育館で交流の集会があり、全校児童・生徒計18人が参加した。山本浩昭校長がトンガの国の花や面積、人口、同町とのつながりを子どもたちに紹介。噴火を受けて贈ったメッセージは大使館を通じて届けられたことも伝えた。

 児童は大柳で収穫された稲を使って作ったリースや折り紙を2人にプレゼントした。児童と生徒で合唱も披露した。

 エイコさんは時折、ハンカチで涙を拭い「すごく幸せで泣いている。皆さんの歌を聴いて長い旅が報われた。古座川に来て家に帰ってきた気持ちになった。海底火山の噴火で大変な時に応援の手紙や絵が届いて支えになった。日本の政府も病院を建てたり、道路を舗装してくれたりすごく支援してくれた。日本のことをすごく誇りに思う」と感謝した。

 さらに「みんなが旅行したいと思ったらぜひトンガに来てください」と呼びかけた。

 中学生を代表して3年の奈須麻実さんは「心の傷はまだ残っていると思うが、募金などを通してサポートを続けていきたい。これからも古座川町とトンガが友達であり続けられることを願っています」と英語で伝えた。