和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年05月21日(水)

特急「くろしお」増便へ 11月から実証事業、和歌山県

古座川に架かる鉄道橋を走る特急「くろしお」(和歌山県串本町で)
古座川に架かる鉄道橋を走る特急「くろしお」(和歌山県串本町で)
 JR紀勢線の新宮―白浜駅間沿線などの自治体やJR西日本、和歌山県、和歌山大学でつくる組織が4月30日、特急「くろしお」を増便する実証事業に取り組む方針を決めた。国の事業を活用し、平日(月~木曜)に上下線1本ずつ増やす計画。11月1日から運行を始め、効果を検証しながら数値目標の達成を目指す。

 県内24市町村でつくる「紀勢本線活性化促進協議会」のうち、白浜町以南の8市町村などでつくる「新宮白浜区間部会」が新宮市役所で第12回部会を開催。各市町村長も出席し、地元を代表して田岡実千年新宮市長が「大阪・関西万博や民間小型ロケットの次の発射など、これまで以上に本年度は紀勢線が盛り上がるチャンス。さらにステージを上げた利用促進に力添えを」と呼びかけた。

 同部会では昨年度、JR紀勢線の利用促進のため、1日当たりの特急列車乗車人員について各駅などの数値目標を設定。2026年度を目標とし、新宮駅(和歌山方面のみ)240人(23年度105人)▽紀伊勝浦駅450人(同185人)▽太地駅20人(同13人)▽古座駅30人(同13人)▽串本駅210人(同66人)▽周参見駅50人(同12人)▽白浜駅(新宮方面のみ)40人(同16人)―と掲げている。

 JR西日本和歌山支社によると、大阪方面と新宮を結ぶ特急くろしおは現在、月曜から木曜は上下線5本ずつ、基本的に金~日曜と祝日は上下線6本ずつ運行している。

 実証事業が国に採択されれば、月曜から木曜についても上下線6本ずつに増便。それに合わせてバス、タクシーなどの二次交通整備、接続改善にも取り組む。最長でも27年3月には終了する予定という。

 会議では各市町村や県も、南紀白浜空港とも連携した観光客誘客や地域のにぎわいづくり、出張の際の活用といった利用促進に取り組むことを説明した。

 同部会では、実証事業にかかる経費の半分を国が補助する「地域公共交通再構築調査事業」を活用するため、5月中に国土交通省近畿運輸局に申請する予定。