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2025年05月14日(水)

【動画】新緑の北山川に歓声 観光筏下り始まる、9月末まで、和歌山県北山村

新緑の渓谷を進む「北山川観光筏下り」(3日、和歌山県北山村で)
新緑の渓谷を進む「北山川観光筏下り」(3日、和歌山県北山村で)
 和歌山県北山村で3日、急流を筏(いかだ)に乗って下る「北山川観光筏下り」の運航が始まり、新緑の渓谷に乗客の歓声が響いた。今季の筏には、初の女性筏師として修業に励む若者の姿も。運航は9月末までで、順調にいけば累計の乗客数が25万人を超える見込み。

 木材を輸送する手段だった筏流しを観光に活用しようと、北山村が1979年から始めた事業。村出資の株式会社「北山振興」に運航を委託しており、乗船場のあるオトノリから小松までの約5・5キロを約70分かけて下る。「北山川の筏流し技術」は林業遺産や県指定無形民俗文化財になっている。昨季は8279人が乗船し、累計は24万4261人に上る。

 この日はオトノリ乗船場で式典があり、関係者が安全を祈願。丸太で組んだ全長約30メートルの筏4隻に乗り込んで順番に出発し、急流に差しかかると筏は大きく揺れ、乗客が歓声を上げた。

■初の「女性筏師」も

 初の女性筏師として修業に励む新宮市三輪崎出身の大野百虹さん(21)は昨年8月、北山振興に入社。昨季から筏に乗って練習を重ねており、この日も、先輩筏師たちと一緒に操船した。「お客さまに楽しんでいただくことはもちろん、安全面に気を付けながら早く一人前になりたい」と話す。一人前になるには最低でも3年かかるという。

 泉清久村長は「近年はSNSで注目され、若者やインバウンド(訪日客)の乗客が増えており、ありがたい。今シーズンは8月ぐらいに累計25万人を達成する見込み。安全第一で運航し、多くの皆さんにお越しいただけたら」と話していた。

 観光筏下りは5、6月が土日曜と祝日のみ運航し、7~9月は木曜以外、毎日運航。乗船できるのは10~75歳の健脚な人で、予約制。料金は中学生以上7700円(税込み)、小学生3300円(同)。

 問い合わせは、北山村観光センター(0735・49・2324)へ。