和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年05月14日(水)

外国人宿泊客が過去最多 24年、今年も更新ペース、和歌山県田辺市本宮町

和歌山県田辺市本宮町 外国人宿泊客数の推移
和歌山県田辺市本宮町 外国人宿泊客数の推移
多くの外国人観光客らでにぎわう世界遺産熊野本宮館(和歌山県田辺市本宮町で)
多くの外国人観光客らでにぎわう世界遺産熊野本宮館(和歌山県田辺市本宮町で)
 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録20周年の節目を迎えた2024年、和歌山県田辺市本宮町を訪れた外国人宿泊客数が過去最多だったことが、熊野本宮観光協会のまとめで分かった。前年比1・66倍の4万4540人で、国・地域別では中国がトップ。今年も2月末までの集計が前年を大きく上回るペースで推移しており、担当者は「通常は観光客が少ない時季でこの状況。今年も過去最多を更新する可能性は大きい」とみている。

 本宮町には世界遺産の熊野本宮大社などがあり、熊野古道を歩く人の目的地の一つとなっている。

 世界遺産に登録された04年に492人だった外国人宿泊客数はその後、基本的に増加し、コロナ禍前の19年にはこれまでで最も多かった3万960人に上った。

 感染対策として入国が制限された影響で、21年には226人に激減。その後は制限緩和に伴ってV時回復し、23年は2万6790人が宿泊した。

 外国人宿泊客を国・地域別に見ると、24年に最も多かったのは中国(6241人)で、次いでオーストラリア(5841人)。米国(4392人)、台湾(4101人)、スペイン(2912人)、フランス(2082人)が続いた。中国が1位となったのは、統計が確認できる03年以降では初めてという。

 今年も1月が前年比2・19倍の1388人、2月には1・41倍の1402人の外国人が宿泊。中国が1位(34・55%)、2位がオーストラリア(10・68%)、3位は台湾(10・32%)となっており、これまでインバウンドをけん引してきた欧米豪に代わって、アジア系が存在感を増している。

■オーバーツーリズム懸念

 一方、観光客の増加が地域の受け入れ能力を超えてしまう「オーバーツーリズム」が懸念される事態も出てきた。

 本宮大社前にあるバス停では、混雑でバスに乗れなかったという外国人観光客が、世界遺産熊野本宮館に「次の予定があるのにどうしたらいいのか」と相談。予約先から迎えに来てもらったケースもあったという。

 熊野本宮観光協会の名渕敬会長は「キャパ(収容数)が決まっているので、宿泊者数全体を見るとコロナ禍前に戻って微増しているという状況だが、その中で海外の方が占める割合が大きくなり、最近は特にアジアの方々が急激に増えている。インバウンド(訪日客)の増加に伴う二次交通などの対策については今後、行政と一緒に取り組んでいきたい」と話している。