和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年03月29日(日)

月桂冠総合研究所×奈良先端科学技術大学院大学 酵母のアミノ酸代謝に関する産学連携共同研究 

日本農芸化学会2020年度大会の「優秀発表」に

2020年3月26日
月桂冠株式会社

月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)の総合研究所は、奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)との共同研究により、日本酒に独特な香気成分の酢酸イソブチルを酵母が付与する、新たな製品の開発につながる成果を見出しました。本研究は、農研機構生研支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」の支援を受けて実施したものです。酵母の育種やメカニズムの解明を奈良先端科学技術大学院大学が、その酵母を用いた日本酒醸造試験による検証を月桂冠が担いました。産学連携により、学術的に新たな知見と産業に応用できるシーズを生み出したこの研究成果は、「日本農芸化学会2020年度大会」(主催:日本農芸化学会)で発表し、大会実行委員会が「本大会で初めて公表する学術的あるいは社会的にインパクトのある内容を含む発表」と認める「優秀発表」に選ばれました。



今回の研究では、月桂冠で保存している清酒酵母(GK-7株)に人為的な遺伝子変異処理を行った中から、細胞内にアミノ酸の一種バリンを親株の3.5倍蓄積する株(GK-7-V7株)を見出しました。この株を用いて月桂冠が日本酒醸造試験を行ったところ、香気成分である酢酸イソブチルの量が1.5倍に増加しました。



この株の遺伝子配列を解析したところ、これまでに知られていない、酵母のアミノ酸代謝に影響を及ぼす新たな遺伝子の変異点を見出しました。その遺伝子の変異がバリンの生産に関連し、細胞内でバリンが多く作られることも確認しました。これらのことから、多量のバリンを原料にイソブタノールを経て酢酸イソブチルが生産されたものと考えられ、独特な芳香を持った日本酒の開発に応用できる可能性を見出す結果となりました。



イソブタノールや酢酸イソブチルは果物や野菜などの香気成分として食品に天然に含まれているほか、酒類やパン類等の加工食品にも一般的に含まれている成分です。今回の研究成果により、酢酸イソブチルを付与された芳醇な香気を持つ、新たな日本酒の開発が期待でき、産学が互いの強みを生かして連携することによる学術的な成果と、産業に利用可能な新たなシーズの創出とを同時実現することになりました。



この研究成果は、「バリン代謝が変化した新規ILV6変異酵母のアミノ酸生成能と清酒醸造特性」と題して、「日本農芸化学会2020年度大会」(主催:日本農芸化学会)で発表しました。

●学会での発表
学会名:日本農芸化学会2020年度大会(主催:日本農芸化学会)
発表日:2020年3月5日(講演要旨集発行日、26日に口頭発表を予定していた大会は中止)
演題:バリン代謝が変化した新規ILV6変異酵母のアミノ酸生成能と清酒醸造特性
発表者:〇村上 直之1、磯貝 章太2、蘆田 佳子2、小高 敦史1、西村 明2、松村 憲吾1、秦 洋二1、石田 博樹1、高木 博史2(1 月桂冠・総研, 2 奈良先端大・バイオ)(○は演者)

●本研究に関連する学会発表
学会名:日本農芸化学会2020年度大会(主催:日本農芸化学会)
発表日:2020年3月5日(講演要旨集発行日、26日に口頭発表を予定していた大会は中止)

演題①:清酒酵母のフェニルアラニン高含有株に見出したARO80遺伝子変異の機能解析および醸造試験への応用
発表者:蘆田 佳子2、〇豊川 洋一2、磯貝 章太2、村上 直之1、小高 敦史1、松村 憲吾1、西村 明2、秦 洋二1、石田 博樹1、高木 博史2(1 月桂冠・総研, 2 奈良先端大・バイオ)

演題②:清酒酵母におけるプロリン高生産株の育種と新規なγ-グルタミルキナーゼ変異体の機能解明
発表者:〇磯貝 章太2、豊川 洋一2、小高 敦史1、高崎 友里恵2、蘆田 佳子2、村上 直之1、松村 憲吾1、西村 明2、秦 洋二1、石田 博樹1、高木 博史2(1 月桂冠・総研, 2 奈良先端大・バイオ)

※いずれも○は演者

●月桂冠総合研究所
1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで、幅広い研究に取り組んでいます (所長=石田 博樹、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)。






プレスリリース詳細へ https://kyodonewsprwire.jp/release/202003258442
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