和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月20日(火)

中学校の部活動 新方針の浸透を期待

 中学校の部活動が激変する。国が「週2日以上の休養日を設ける」「平日の活動時間は2時間程度」といった内容を盛り込んだ新たなガイドラインを提示。それを受けた田辺・西牟婁の4市町教育委員会も同様の方針を策定し、本年度から運用を始めたからだ。

 4市町教委は水曜日と、土日曜日のどちらか1日を休養日に設定し、生徒と教員の双方が部活動以外の予定を入れやすくした。田辺市の佐武正章教育長は「子どもの健康面や安全面を考えることが第一。短時間に集中して取り組むことでめりはりもつく。新しい方針はこれからの時代に合った形だと思う」と話す。

 部活動に関しては、かねて長時間の練習によるけがや疲労の蓄積などの問題が指摘されてきた。教員の長時間労働の温床にもなっており「ブラック部活」という言葉も生まれた。部活動に関する2017年度の国の調査によると、60・2%の学校が休養日を週1日とし、設けていない学校も11・2%あった。

 こうした実態を基にスポーツ庁は昨年3月、文化庁も12月に新ガイドラインを発表。速やかに改革に取り組むよう求めた。

 運動部については、科学的トレーニングの必要性も強調。スポーツ医科学の見地からは、トレーニング効果を得るため休養を適切に取ることが必要▽過度の練習はスポーツ障害のリスクを高め、必ずしも運動能力の向上につながらない―とした上で、生徒が燃え尽きないよう短時間で効果が得られる指導をするようにとしている。

 部活動は、生徒の自主的、自発的な参加があってこそ成り立つ。このことは学習指導要領にも明記されている。しかし実際には「入るのが当たり前」という風潮があり、国の調査によると中学生の約9割が入部している。

 現状では半強制的に長時間の練習、拘束を受けて心身の疲労に苦しむ生徒がいる。教員の負担も大きい。新たな方針はこれに一石を投じるもので、この方向性が十分浸透することを期待したい。

 国のガイドラインはまた、競技力の向上や大会で好成績を収めるだけではなく、友達と楽しめること、適度な頻度で行えることなどの需要に応じた環境整備をすることについても言及している。

 部活動で学べることは多い。かけがえのない思い出になっている人もいるだろう。一方で、運動が苦手な子もいれば、もっと気楽に取り組みたい子もいる。小規模校では選択肢も限られている。自主的、自発的なものであるという部活動の本質に立ち返れば、放課後や休日の過ごし方はもっと多様であっていいはずだ。

 中学校の3年間は、体も心も大きく成長する時期だ。勉強や部活動に加えて読書、芸術鑑賞など幅広い取り組みが後の人生にとって大きな財産になるだろう。

 そうした成果につながる部活動が求められる。今回の方針をきっかけによりよい将来像を探っていきたい。 (H)