和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年06月04日(木)

「あなたの娘に生まれて幸せ」ベッドの上で演奏会も…病気女性支える母との絆と音楽

難病と闘いながら音楽制作、演奏を行う星野希望さん Twitter(@hoshinonozomimi)より
難病と闘いながら音楽制作、演奏を行う星野希望さん Twitter(@hoshinonozomimi)より
 脳脊髄液減少症という病気で、寝たきりの日々を送る星野希望さん。痛みや吐き気が24時間続くという壮絶な闘病生活を支えるのは、家族の愛と音楽だ。ベッドの上でも、自分で曲を作り、ピアノ演奏することができる。そしてそれを可能にするのが、「唯一、外の世界と繋がれる」Twitterだ。母の日には、彼女によるあるツイートが大きな反響を呼んだ。現在の心境について、星野さんに話を聞いた。

【写真】「寝たきりでもウエディングドレスが着られた」…感動の声続出、実際のツイートの写真

■ウエディングドレス着せてくれた母への思い、「温かいコメントにも感謝」

 一般にはあまり知られていない、脳脊髄液減少症という病気。『CSF-JAPAN脳脊髄液減少症ホームページ』によると、「脳脊髄液が“減少状態”になるために、頭痛をはじめとする種々の症状が出現する疾患」とのこと。星野さんはこの病気により起き上がることもできず、4年間寝たきりの闘病生活を送っている。

 そんな星野さんは先日の母の日、夢だったウエディングドレスを母親に着せてもらった様子をツイート。可愛らしいドレス姿の写真と、「あなたの娘に生まれて私は幸せです」という言葉に、大きな反響を巻き起こった。

 「夢の一つが叶い、とても嬉しいです。お母さんも『すごくキレイ』と喜んでくれました。病気で寝たきりになっても、それまでと変わることなく接してくれる家族に感謝しています。いつもありがとうと伝えたいです」(星野さん/以下同)

 ツイートへの反響についても、「たくさんの温かいコメントをいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。そして、この投稿を機に、今まで作ってきた曲をたくさんの方に聴いていただけたことも嬉しかったです」と感謝の思いを明かす。

 星野さんは、脳脊髄液減少症のため、「横になっていても激頭痛、めまい、聴覚過敏、耳が詰まった感じ(ずっとトンネルに入ってるような)、両耳の痛みと不快感(ものを飲み込むたびに鼓膜がポコポコと言う)、音が響くので耳栓をして生活をしている」(ブログより)という。さらに、光過敏や眼瞼痙攣、首や脊髄全体の痛みがある。猛烈な吐き気があるために食事は苦痛で、症状が悪化するため仰向けで横になり続けることすらできない。これらの症状が24時間続く。手術を行っても、残念ながら改善することはなかったそうだ。

 このように壮絶な闘病生活を送る星野さんだが、Twitterは「病気で寝たきりで外出できない私にとって、唯一、外の世界と繋がれる大切な場所」だと語る。さらに、文字の投稿だけではなく、自作の曲を寝たままでピアノ演奏した動画も数多く公開。ベッドの上から演奏会を開催したりしている。

 「闘病を始めて、最初はただひたすら音楽を聴いていました。そこからだんだんと自分でも作曲するようになって、寝たままでDTMで作曲をするようになったんです。ある日の夜、絶望して泣きながら夜を明かしました。窓から見える微かな光が暗闇から朝日に移り変わった時、なんて美しいのだろうと再び涙しました。その時に舞い降りてきた曲が『ひかり』です。この曲をきっかけに、自分で作曲した曲を自分で演奏したいと思うようになり、試行錯誤して今の寝たままの状態でピアノを弾き始めました」

 Twitterを媒介に音楽を届け、多くの人たちと繋がることもできる。星野さんにとって、「音楽、そして音楽仲間は、私にとって心の支え。生きる支えになる大切な存在」だそうだ。

■「死を覚悟した」絶望から少しだけ目を逸らし、見つける希望

 音楽や仲間たちを支えに、長い闘病生活を続ける星野さん。Twitterを見ていると、夢を叶えるべく前向きに生きる彼女と、それを包む家族の愛情が垣間見える。だが、ときには変わらぬ病状に「絶望して死を覚悟した」と、赤裸々に明かすこともある。

 「私は強い人間ではないので、寝たきりになって4年経ってもなお、絶望を乗り越えることができていません。でも、真正面からやってくる絶望から少しだけ目線から逸して、1日1日を『今日が地球最後の日だったら私は何をするだろう? 私には何ができるだろう?』、ただそれだけを考えて生きています」

 『地球最後の日に何をするか?』とは、誰でも一度は夢想したことのあるテーマだろう。だが星野さんの場合、それはどうにもならないつらい現実からの切実な逃避であり、日々を生き抜く糧にもなっている。それを思うとき、コロナの影響下とはいえ多くが自由に動くことのできる私たちには、もっとできることがあるのではないか。そう気づかされるのではないだろうか。

 最後に、一般にはあまり知られていない脳脊髄液減少症という病気について、伝えたいことを聞いた。

 「認知度が低い病気ですが、誰でも発症する可能性のある病気です。認知度が低いために、診断治療できる病院も非常に限られています。そして、確実に完治する治療法もまだ確立されていない病気なのです。治療に関する研究が進んで、同じような状況で苦しむ人が1人でも減ってほしいと願っています」

【写真】「がん治療していても美しくいたい」…胃の全摘、パニック障害を乗り越えた美魔女
【写真】325gの赤ちゃんに涙…、芸人が笑いなしで挑んだ1年半の軌跡
【写真】16歳から副腎不全、若年性パーキンソン病…複数の症状に苦しむYouTuber、メイクで驚きの変身
【漫画】大腸摘出…白塗り漫画家が難病「潰瘍性大腸炎」との闘病をギャグ漫画に昇華⁉
【動画】美しすぎて涙…星野希望さんの絶望救った曲『ひかり』
提供:oricon news