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2024年04月18日(木)

深刻な医療用資材不足訴える 県に県医労連

新型コロナウイルスに対応する県内医療機関の状況について記者会見する県医療労働組合連合会の関係者ら(22日、和歌山県庁で)
新型コロナウイルスに対応する県内医療機関の状況について記者会見する県医療労働組合連合会の関係者ら(22日、和歌山県庁で)
 和歌山県医療労働組合連合会(県医労連)などは22日、今後予想される新型コロナウイルス感染の「第2波」に備え、仁坂吉伸知事宛てに医療体制の充実を求める「要請書」を提出した。医療現場から、医療用資材の不足を訴える声が寄せられており「マスクは週に2枚しか使えない」「ガウンにごみ袋を代用」といった病院もあるという。

 県医労連は要請書提出後、県庁で記者会見した。

 県医労連は5月上旬から中旬にかけ、新型コロナの患者を受け入れている病院を含む県内の9医療機関から、手記の形で現場の状況を聞いた。

 それによると、特に多かったのは医療物資不足。マスクについては「県の支給に助けられ、節約しながら対応できている」という声がある一方で、県医労連加盟の多くの病院では使用枚数制限を設けているといい、週に2枚しか使えない病院もあるという。

 他の医療用物資の不足についても「手袋やガウンをナイロン袋で作って対応している」「清掃時に使うプラスチック手袋が不足し、家庭用ゴム手袋に変更したがそれでも確保できず、片手しか使えない。感染症対策になっているのか疑問」「患者用の消毒液を用意できなくなった」との切実な声があったという。

 自宅以外に宿泊できる制度の充実も県に求めた。県は、医療職員の通勤負担軽減のために、指定宿泊施設を県負担で利用できる制度を設けている。県が公募して指定した県内10宿泊施設が対象だが、和歌山市内に集中し、御坊・日高地方や新宮・東牟婁地方には1施設もない▽利用は勤務日に限るという条件がある―など、活用しにくいといい、これらの改善を求めた。宿直所や空き病室を利用したり検討したりする病院もあるという。

 県医労連は3月上旬以降、県に対し、院内感染リスク防止のための検査体制強化や特別手当支給、宿泊場所確保などの要望を続けており、これで4回目。

■「紀南にも検査施設を」

 県医労連は今後、紀南地方にPCR検査ができる施設を設けるよう、県に要望していきたいという。

 県内では県と和歌山市の施設がPCR検査を実施している。両施設とも検査可能件数を増やしたが、会見した佐藤英昭書記長は、これでも「(感染症が)流行した時は、脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘。検査施設は和歌山市内にあり「例えば紀南では、病院が採取した検体を和歌山市まで運ぶ必要があるが、運送会社によっては断られるという問題もある。紀南にもセンターが欲しい」と話した。