和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月20日(日)

消防団員の高齢化 待遇改善などで担い手を

 少子高齢化の進行で消防団員が減少している。それに伴う地域防災力の低下をどう避けるか。待ったなしで対策を立てる時期が来ている。

 県の調べでは、昨年4月現在の県内消防団員は1万1826人。各自治体が定める消防団員の定数計1万2518人に占める割合は94・47%で「充足率」は都道府県で3番目の高さという。

 しかしながら、現状でも定数を700人近く下回っており、団員数も4年前と比較すると52人減っている。

 田辺・西牟婁ではどうか。田辺市消防本部によると、市の消防団員は今年4月現在で993人。市町村合併以降、定数1050人に満たない状況が続いている。白浜町でも団員は減少し、4月現在では336人。定数に50人足りない。上富田町やすさみ町も定数に満たない状況だ。

 減少の背景には地域人口の高齢化がある。県全体でみても、若い世代は確実に減り、中高齢層の比率が増加している。20代の団員数は昨年4月現在585人で、4年前より109人(16%)減。30代は2500人で469人(16%)の減となった。一方、40代、50代は微増。60代以上は1601人で225人(16%)増えている。

 田辺市消防本部の戎嶋健消防総務課長は「消防署員だけでは、台風など災害への対応は難しい。地域のことをよく知る団員がいると捜索活動でも力を発揮する。消防団員がいるから地域を守れている」という。

 白浜町消防本部の植田茂期消防総務課長も「台風時の土のう積みや避難誘導などは、消防職員全員が出ても手が足りない。火災時に消防署から到着するまでに時間がかかる現場では、消防団が先に消火に当たる。人数が少なくなると、活動に支障が出る恐れもある」と団員確保の必要性を語る。

 もちろん、自治体ごとに手は打っている。田辺市では若手人材の確保を目指し、近隣の高校を訪れて消防団の役割を知ってもらう取り組みをしているほか、若手や中堅の団員から意見や希望を聞き、活動に反映できないか検討する委員会を組織。これを機に高度な技術や知識を身に付ける「強化団員制度」を導入した。飲食店やクリーニング店などで団員や家族がサービスを受けられる「消防団応援の店」制度も取り入れている。

 和歌山市では大学生が団員として活動すれば、就職活動時に評価される認証制度を設け、近畿大学が紀の川市の和歌山キャンパスには学生消防団を設置している。

 しかし、若い人が少なく高齢者の割合が多い地域では、若手をいかに確保し、防災力を強化していくかは大きな課題。今後ますます少子高齢化が進み、若手団員の確保が難しくなると予想される一方で、近年は台風の襲来が増え、大規模地震や津波の心配もある。

 事態がこれ以上深刻化する前に、どう具体策を打ち出すか。消防団員の待遇改善も視野に、知恵を絞ってもらいたい。 (K)