和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年08月09日(日)

青年よ、古道を歩け!!~新人記者の熊野詣で~(3)/胎内くぐりで生まれ変わる

古道沿いにある「胎内くぐり」。見上げた巨岩の隙間は意外に狭かった
古道沿いにある「胎内くぐり」。見上げた巨岩の隙間は意外に狭かった
滝尻王子から高原まで地図
滝尻王子から高原まで地図
 熊野古道歩き2日目は、田辺市中辺路町にある熊野三山の霊域への入り口といわれる滝尻王子から、高原熊野神社までのコース。距離は4キロほどしかないが、急な登りが続くので、体力に自信がない人には難しいと聞いた。

 歩き始めると、いきなり聞いた通りの急な登りが続く。スタートして間もないのに息が上がり汗が吹き出した。

 あちこちに大きな岩が見える道を10分ほど登ると、大きな岩と「胎内くぐり」と書かれた立て札が現れた。ここは、母体に戻って生まれ変わる感覚を味わう場所だという。同行してくれた先輩から促されて入ったが、通り抜けの穴は意外に狭い。お尻がひっかかって抜け出せない。体をよじりながら何とかくぐり抜けると、外の世界は今までとちょっと違うように見えた。

 ここをくぐらずに先回りしていた先輩に「生まれ変われたか」と問われて思わず「はい」と答えた。すぐ近くには「乳岩」があり、そこで休んだ後、再び歩き始める。

 不寝王子を過ぎても険しい登りが続き、周りの景色が段々高くなっていく。1時間近く登り続けて「剣ノ山経塚跡」に到着。ここは標高371メートルの山の上。滝尻王子からは約270メートルも高い場所だ。

 そこからは緩やかな下り。まもなく古道のコースから少し離れて展望台がある。遊歩道を登ると、視界が開け、栗栖川地区の民家や山々が望めた。予想外の絶景に驚いた。

 しばらく歩き、高原地区への車道を横切ると、花が供えられている「針地蔵尊」。そこで休憩。涼しい風が吹いている。 

 地図で見る限りゴールも近い。楽観していると、再び急な登りに差し掛かった。足取りが重くなり、一気に汗が吹き出る。あと少し、もう少しと自分を励まして登り切る。頂上には2匹のチョウが祝福するように飛び交っていた。

 たどり着いた高原の集落では、古道沿いにあるオープンカフェから楽しそうな声が聞こえてきた。古道歩き客と住民がテーブルを囲んで談笑している。呼び止められて、輪に加えてもらった。

 カフェの主は、大橋正義さん(43)とフランス出身の妻サラさん(31)。二人が営む宿泊施設「旅籠まさら」は、今春開業したが、コロナ禍が直撃。「何かやれることはないか」と5月下旬からカフェを始めたそうだ。サラさんの作るフランスの家庭料理が好評といい「高原を盛り上げていけたら」と大橋夫妻。

 コロナ禍の中での船出は私も同じ。「自分も頑張らなければ」と心の中で誓った。