和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年12月16日(月)

後継ぎは「移住者」 川湯温泉で3代続いた民宿

民宿を引き継いだ百合光平さんと妻の清水紀久子さん=和歌山県田辺市本宮町川湯で
民宿を引き継いだ百合光平さんと妻の清水紀久子さん=和歌山県田辺市本宮町川湯で
 和歌山県田辺市本宮町川湯で3代続いた民宿を移住者が引き継ぎ、今春再オープンした。後継者を求めている事業主と意欲ある移住希望者をマッチングする県の「継業」支援の成立第1号。「4代目」は「長年親しまれてきた歴史を守りつつ、新たな挑戦をしたい」と意気込んでいる。

 継業は、移住者側が店舗の資産や経営ノウハウを引き継げ、地域にとっては廃業の防止につながる利点がある。一石二鳥の人口減少対策として注目されている。

 継業支援の成立第1号となったのは民宿「すみや」。「4代目」は川崎市から移住した百合光平さん(48)と妻の清水紀久子さん(49)。百合さんは元ミュージシャンで、前職は建築業。清水さんは元在日マダガスカル大使館秘書で、フランス・ブルターニュ地方と日本の交流団体の代表を務めていた。ともに宿泊業の経験はないが、名称を「すみ家(や)」として宿を切り盛りしている。

 百合さんは白浜町出身。子どもを連れて帰省するたび、自然豊かな環境で暮らしたいとの思いが強まった。2年前、東京であった移住フェアで田辺市のブースを訪れ「Jターン」を検討してきた。

 課題となったのは仕事と住居の確保。古民家を改修したゲストハウスができないかと考えたが、初期投資や軌道に乗るまでの収入確保が壁となった。そんな時、県の継業支援事業で、後継者を探していた「すみや」を紹介され、温泉付きの物件とオーナーである小渕善仁さん一家の人柄に「一目ぼれ」。継業という形での挑戦を決めた。

 「すみ家」には、いまも宿泊サイトを通さず、常連客から電話で予約が入る。百合さんは「これまでのつながりを大切にしつつ、新たな取り組みを加えたい」と話す。名称変更は「スタッフも客も、みんなが家族のような空間にしたい」と思いを込めた。