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2020年08月08日(土)

過疎法の対象地域継続を 期限切れ控え田辺市議会が意見書

和歌山県田辺市の過疎債活用状況(ハード事業分)
和歌山県田辺市の過疎債活用状況(ハード事業分)
 国が過疎の自治体を財政支援する「過疎地域自立促進特別措置法」(過疎法)が、2020年度末に期限切れを迎える。新たな過疎対策法の制定に向けた動きはあるが、対象地域が縮小される可能性があり、これまで市内全域が対象となってきた和歌山県田辺市は気をもんでいる。市議会は6月定例会で、現行の過疎地域を引き続き対象とすることなどを求める意見書を可決した。


 過疎法は1970年に10年間の期限付きで施行されたが、その後も新法の制定や期限の延長を繰り返してきた。

 現行法には、市町村合併の特例として「一部過疎」と「みなし過疎」が設けられている。一部過疎は、合併前の旧市町村のみを過疎地域とみなす制度で、県内では白浜町が対象。みなし過疎は、合併後の新市町村が過疎地域の要件を外れていても、人口や面積など一定の要件を満たしていれば新市町村全体を過疎地域とみなす制度で、県内では田辺市と有田川町が対象となっている。

 自民党の過疎対策特別委員会が3月に示した「今後の過疎対策の方向性」素案では、一部過疎については「設けることを検討」としているのに対し、みなし過疎は「設けることの是非を含めて検討」となっており、継続されるかは不透明な状況だ。

 過疎法に基づく「過疎対策事業債」(過疎債)は、元利償還金の7割が交付税として戻ってくる「有利な借金」で、過疎自治体にとって貴重な財源となっている。みなし過疎が廃止されれば、旧田辺市地域での事業に過疎債が利用できなくなる。

 田辺市は合併後、過疎債を84億409万円(ハード事業分、20年度予算含む)発行している。旧町村地域でケーブルテレビの整備や小中学校の施設整備などに活用してきたほか、旧田辺市地域でも消防施設整備や小中学校のトイレ改修などに充ててきた。

 ハード事業だけではなくソフト事業も対象で、市では集落支援員の人件費やスクールバスの運行などに活用している。

 また、意見書では、主に旧町村部をカバーしていた旧簡易水道事業についても過疎債の対象とするよう要望した。18年度から簡易水道事業と上水道事業を統合し、過疎債が活用できなくなったため。市のこれまでの過疎債発行額のうち、簡易水道事業は約2割を占めている。