和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年08月08日(土)

【高橋ダン】「世界恐慌以来の危機ってホント?」GDP数値に惑わされるな 本当に注視すべき指標とは?

プロ投資家でYouTuberとしても注目を集める高橋ダン氏 (C)oricon ME inc.
プロ投資家でYouTuberとしても注目を集める高橋ダン氏 (C)oricon ME inc.
 「世界大恐慌以来の低数値GDP予想」──コロナ禍の影響により、4月~6月期GDPは過去最大規模の低数値が予想されておりメディアではネガティブなニュースが数多く飛び交っている。だがマーケットに目をやれば株価は上昇。これはどういうことなのか? そのからくりは? プロ投資家で、新進気鋭の論客として注目を集める経済アナリスト・高橋ダン氏は「多くの人が勘違いしている可能性がある」と指摘。GDPではなく、我々が見なければならない重要な指標とは何か? 熱く語ってくれた。

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■「世界大恐慌以来、最悪の景気に…」のウソが“PMI”から見て取れる

 今回は、世界中の多くの人が勘違いしているであろう、経済の“指数”についてお話していきたいと思います。結論から言いますと、今後発表されるコロナ禍での4~6月期の世界各国のGDPの低下についての予想、これを皆さんは、必要以上に恐れる必要はありません。

 それはなぜか? 今から講じていきたいと思います。

 コロナ禍で、多くのネガティブなニュースが世間に流れたのは皆さんも御存知の通り。最もインパクトがあったのは「GDPが世界大恐慌以来最悪の低数値をつけるだろう」という予想です。GDP=国内総生産の伸び率が経済成長率に値するわけですから、これはとても恐ろしい言葉です。

 しかし実はGDP以外に、私たちが見るべき“指数”が別にあるのです。それはPMI。「購買担当者景気指数」と呼ばれるものです。じゃあPMIって何?具体的にどういうものなのか?

 PMIを端的に換言するならば、経済の“世論調査”のようなものです。ISM(米国供給管理協会)が毎月公表している「景気感」をとらえる指標です。日本でも約400社にこの世論調査を行っており、今の景気をどう思っているのか、会社自体がどのような状況なのか、注文指数や在庫、現在の売り上げなどのカテゴリーでレーティング(評価を数値化)しています。

 ジャンルは製造業と非製造業(サービス)の2つ。これを毎月行っているわけですから、4~6月期と一年を四期に分けて出すGDPよりも月ごとの細かい数値の“今”が分かるわけですね。先進国のほとんどがこれを発表している。ではPMIは現在、どうなっているのか?

■“PMI”が信頼できる理由と、その数値から見る現在の世界経済

 PMIのデータを見ますと(7/9現在)、中国が最も早く回復しているのが分かります。次にアメリカ、日本、ヨーロッパですが、製造業の面でだいたい1/3ほど、非製造業(サービス)では半分ぐらいすでに回復しています。
 
 なぜ非製造業が早いのか? これは皆さんも実感があると思うのですが、自粛で外に出られなくてもインターネットで買い物は出来ますし、ZOOMなどの通信サービスは多く使われていますよね。非製造業にはこのIT産業が含まれているからです。つまりIT産業は景気感が良い。

 ここで疑問を抱く人がいるかもしれませんね。その世論調査で、企業は本当のことを言っているの? そもそもどれぐらいの開示義務があるの? そしてもう一つ。中国が回復しているって本当? じゃあ中国の景気は良いっていうこと?

 個人的に思うのですが、例えば企業が嘘をつく場合、これは自分たち、もしくはそのお仲間がなにか得をしようとしているからだと思います。ですが400社もあれば統計的に嘘をついてもそれほどの変化は見られないはずです。また、例えばみんながわざと嘘をついて、悪く答えれば、より政府からの支援がもらえるかもと考える可能性もあり得ます。でも、結局いつかはV字回復してしまうので、一時的なインパクトしか得られません。

 次に中国。中国はこうした数値をコントロールしているのではないかと、“陰謀論”的にうがった見方をする人もいるでしょう。でも僕から言わせれば、それは世界中どの国だって一緒。政府がなんらかの介入をするというのは政治経済では当たり前のこと。日本だって日銀が日経株を買い支えたりしているでしょう? ただし、こういったうがった見方は要らぬ疑惑を生みます。その疑惑を払拭するかのように、中国でのPMIは政府が出した生産業と非生産業、民間の生産業と非生産業と4つの数値が出されています。他の国は生産業と非生産業の2つのみですから、それだけ配慮した体制だと言えますね。

 では話をもとに戻しましょう。現在のPMIの回復を見て僕が出した結論ですが、僕は今の世界経済はメディアが騒いでいるほど悪くはないと思っています。実際、株価も世界的な回復を見せています。もし“コロナバブル”という言葉があるなら、株価については今もその渦中にあると思っています。

 すると、ここでまた疑問が湧いてきます。株価が上がっているんだったら、じゃあ、どうして景気が良くなっていると感じられないの?…この件について僕の意見を述べましょう。

■メディアの情報は“過去”のデータ。最新を知るにはマーケットを!

 皆さんが勘違いしやすいだろうことの一つ。それは「株価=景気」の認識です。株価が上がれば好景気、そう考えてしまう人は多いはずです。これが間違いのもと! 僕は大きな声で言いたい。「経済は下がっているのにどうして株が上がっているの?」という疑問自体が大きな誤解のもとに生まれた発想だと。

 どういうことか? 経済ではまず“株”が“最初に”動くんです。景気とともに動くわけでは決してない。株式市場=マーケットは最新の情報が集まっている場所です。つまりマーケットは「経済は実はそんなに悪くない」と知っているということですね。アメリカを見ても、失業率などのデータは悪くない。金融で重要なのはNYなどがあるアメリカ東海岸なのですが、株価も安定しているのです。現在の日本の株価上昇も、これらの情報を受けての動き。アメリカをフォローしているような状態です。これは世界経済も同様です。株価の動きを「予想」することはタブーですが、感覚的に、これからも回復は続くと思います。少なくとも一気に暴落することはないでしょう。

 ちなみに「経済が下がっている」という認識は、メディアにもその責任があると考えます。今はコロナ禍で、経済的に非常にネガティブなニュースが多いですよね。日本のメディアは、海外で報道された恐れを抱くようなネガティブな情報を、「こんなにヤバい情報が出ている」とそのまま翻訳して発表する傾向があります。もちろんその情報も間違いではない。ただ重要なのは、そのほとんどが“過去の”データだということなのです。

 私たちにとって大切なもの。それは“今”であり“未来”。その“先行指数”として最も信じられるのが、最新情報が集まるマーケット=株式市場です。そこを見れば株価は回復していますね。「なぜ?」と聞きたいかもしれません。ですが、ここで「なぜ上がっているんだろう?」に囚われるのはNG。株の世界ではこの、「上がっている」という“事実”が重要なのです。今は株価が回復の道をたどっています。だから大丈夫。そう呑み込んでください。世界のネガティブなニュースに振り回されないことが重要です。

 今回言いたいことは2つ。今後4~6月期のGDPが発表されますが、より“今”を見るためにPMIを注視すること。そして過去のデータである海外メディアではなく、“未来”が見える株式市場を見ること。ビジネスには、政治的なミスリードが生じる場合だってあります。皆さんはこれらに騙されないよう心がけてください。

【高橋ダン】
経済アナリスト・プロ投資家。12歳で投資を開始。米コーネル大学を首席グループで卒業後、ウォール街の名門金融機関・モルガンスタ ンレーに従事し、リーマンショックを経験。その後、独立し、自らヘッジファンドを運用。2020年1月から自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、4ヵ月で登録者数12万6千人獲得。日本国内の全てのYouTuberを含む月間の登録者数増加ランキングで国内23位に位置付けるなど、今最も注目を集める若き論客。

(取材・構成/衣輪晋一)



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提供:oricon news