和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月20日(火)

「森林保全の担い手」

 先日の本紙に見過ごしにできない記事があった。森林環境譲与税の配分が「大都市優遇になる見通し」という記事である▼共同通信によると、配分額は(1)私有林・人工林の面積(2)林業従事者数(3)人口―によって算定し、最高は横浜市の約1億4200万円、2位は浜松市の1億2100万円、3位は大阪市の約1億1千万円になる▼しかし財源は、国が2024年度から徴収する「森林環境税」であり、本来は森林の荒廃や担い手不足に悩む自治体を支援するのが目的だ。その税を森林がほとんどない大都市になぜ優先的に配分するのか。総務省は、消費地である都市部で木材の利用を促し、木材価格の下落を防ぐためだという▼しかし、森林保全のためにという新しい税の趣旨から考えると、まずは森林面積の広い自治体に配分して森林を保全し、林業の未来に明かりをともすことが先決ではないか。林道整備、後継者育成など緊急に必要なことが山積している紀南の現状を見ても、まずは森林保全のために配分しなければ、理屈が合わない▼そのうえで、都市部の人たちに森林の現状を理解してもらうための施策を考えればよい。例えば大学の正課外教育として一定期間、学生に森林保全活動を義務付け、それを卒業単位に組み入れることを考えてはどうか。現場に出ることで学べることはたくさんある▼せっかくの森林環境税である。森林保全に直結する施策を求めたい。(石)