和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年08月20日(火)

「監視社会」

 「それはないよな」と友人がしきりにボヤく。聞けば、大手スーパーマーケットでウロウロしているのを警備員に見とがめられたそうだ。店内にある監視カメラに「不審者」と判断されたらしい▼最近、防犯技術に特化した企業の手で、万引防止用の人工知能搭載カメラが開発された。スーパーやホームセンターなどで設置が進む。店側も人権には十分配慮しているそうだが、疑われたと知った側は面白くない▼コンピューターの進歩は分進時歩。情報の蓄積量も圧倒的だ。スーパーマーケットの監視カメラの場合、膨大なデータを深層学習と呼ばれる人工知能学習によって万引犯共通のしぐさを瞬時に検知するらしい▼ジョージ・オーウェルが未来小説『1984年』で、全体主義社会の恐ろしさを書いたのは1948年。その中で予言された監視社会がここまできた。彼を生んだロンドンはいま、監視カメラの設置数では世界の先端を行く▼人工知能が発達、20年ほどですべての面で人知を超えるという説が真剣に論じられている。だが、人口知能が人間の心にまでは分け入れない以上、予見し得る将来にはそれはない、という説を信じたい▼万引防止カメラにしても、その人が本当に盗みをする気があったかどうかを客観的に実証されない限り、補助機材に過ぎない。だから現状では「バカにするな!」とたんかを切って、店に謝らせることだってできるはずだ。(倫)