和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年09月21日(火)

イノシシの有害捕獲激増 串本と古座川、4カ月で昨年度の2倍

和歌山県指定大島鳥獣保護区で捕獲されたイノシシ(昨年、和歌山県串本町須江で)
和歌山県指定大島鳥獣保護区で捕獲されたイノシシ(昨年、和歌山県串本町須江で)
 和歌山県の串本町と古座川町で、有害鳥獣駆除によるイノシシの捕獲数が大幅に増えている。本年度は7月末までの4カ月間で、既に昨年度(猟期の11~2月を除く)の約2倍になっているが、他の有害鳥獣の捕獲数は特に増えておらず、両町の関係者らはともに「原因は分からない」と話している。

 串本町で昨年度、有害鳥獣駆除で捕獲されたイノシシは164匹だったが、本年度は7月末まででその2倍近い317匹となっている。月別では7月の捕獲数が最も多く87匹だった。町産業課によると、町内では水稲への被害の他、石垣や墓が崩される被害が出ているという。墓などを崩すのは、土中に生息するミミズやカニ、カエルなどを探すためとみられる。

 古座川町では昨年度、有害鳥獣として捕獲されたイノシシは78匹だったが、本年度は7月末までで2倍超の159匹となっている。月別では7月の捕獲数が最も多く90匹だった。町地域振興課によると、町内全域で農作物への被害が出ているという。

 両町とも地元猟友会の協力で、銃、くくりわななどで有害鳥獣を捕獲しているが、イノシシの捕獲数だけが増えており、シカ、サルなど、その他の動物の捕獲数は例年と大差なく推移している。

 東牟婁猟友会古座川分会の瀧本守分会長によると、高速道路やロケット発射場の建設工事の影響で、イノシシは山奥で隠れて暮らしていると思われていたが、工事現場近くでも捕獲されているという。瀧本分会長は「今、捕獲しているイノシシは子どもが多い。通常イノシシは5~6月に子どもを産むが、気候の関係か、今年は2月ごろから生まれていた。イノシシによるミツバチのゴーラ(巣箱)の被害も出ている。猟師を40年間しているが、今年のような現象は初めて」と話している。

 串本町の紀伊大島でイノシシの生態について調べている、京都大学フィールド科学教育研究センター紀伊大島実験所(串本町須江)の梅本信也所長は「イノシシは学習能力が高い。餌不足で追い詰められていたが、食性を変えたり、新たな餌場を見つけたりして増えた可能性がある」と推測する。

■イノシシにもコロナ影響? 紀伊大島

 一方、紀伊大島では最近、イノシシの目撃情報が減っているという。

 梅本所長によると、紀伊大島で生息するイノシシは、釣り人が捨てていった魚や釣り餌の残りなどを餌にしているが、今年は新型コロナウイルスの影響で釣り人が減少。イノシシの餌不足に拍車がかかっているようだ。梅本所長が先日目撃したイノシシは、犬と見間違えるほど痩せていたという。

 梅本所長は「紀伊大島ではイノシシの数が減っている可能性が高い。今年は竹やぶが荒らされていないし、イノシシを見ていないという島民が多い。餌不足でかなり追い詰められているのではないか」と話している。