和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年10月31日(土)

「熊野修験」再興33年を記念 写真集発刊し展示会も

熊野修験を再興した高木亮英副住職(右)と写真集を出した森武史さん=1日、和歌山県田辺市本宮町で
熊野修験を再興した高木亮英副住職(右)と写真集を出した森武史さん=1日、和歌山県田辺市本宮町で
 和歌山県那智勝浦町の世界遺産・那智山青岸渡寺の高木亮英副住職(70)が復活させた「熊野修験」の再興33年を記念した写真集ができた。熊野から奈良県・吉野山を目指す「大峯奥駈修行」などに取り組む山伏たちの姿を、写真家・森武史さん(62)=三重県玉城町=が、20年にわたって撮影。田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館で1日から、記念の写真展が始まった。

 修験道は約1300年前に役行者によって開かれたとされ、各地の霊山へと広がった。中でも熊野は日本第一霊験所として多くの山伏が修行に訪れて各地へ熊野信仰を広めたが、明治時代に入ると、修験道廃止令(1872年)によって熊野修験も途絶えたという。

 高木副住職が再興を決意したのは1987年、父である高木亮孝・青岸渡寺前住職が亡くなった際、遺品から山伏衣装の一式を見つけたことがきっかけだった。「廃仏毀釈(きしゃく)で荒れ果てた青岸渡寺の整備に力を尽くして一生を終えたが、熊野修験も復興したかったという思いをひしひしと感じた」と高木副住職。刈り開きなどで南奥駈ルート整備に取り組んでいた「新宮山彦ぐるーぷ」の力を借りて、翌年に大峯奥駈修行を復活させた。

 さらに、92年には那智の山中に点在する滝を巡る「那智四十八滝回峰行」、94年には和歌山市の友ケ島から奈良県王寺町に至る「葛城二十八宿修行」も復活させた。

 森さんは熊野古道の撮影を続ける中、同じ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている大峯奥駈道も撮りたいと大峯奥駈修行に同行したことが縁で、熊野修験の撮影を開始。今年が修験道で重視される「33」という節目の数に当たることを記念し、奥駈修行のほか、那智四十八滝回峰行、葛城二十八宿修行に同行して撮影した計123カットを収めた写真集「熊野修験」(B5横長判並製140ページ)を出した。

 世界遺産熊野本宮館で始まった写真展では、伊勢和紙にプリントした長さ約5メートルのパノラマ写真などの大型作品とA3サイズなどの作品計約70点を展示。時間は午前9時~午後5時で、30日まで。

 森さんは「山伏の方々の自然に対する思いを読み取ってもらえたら」。高木副住職も「熊野は日本第一霊験所といって修験者にとって最高の場所。熊野の霊験を感じ取っていただければ」と話した。

 写真集は月兎舎(三重県伊勢市)の編集・発行で、価格は2500円(税別)。書店などで購入できるほか、写真展の開催期間中は、世界遺産熊野本宮館内の熊野本宮観光協会でも取り扱う。

 写真集の問い合わせは月兎舎(0596・35・0556)へ。