和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年10月27日(水)

【動画】紀伊半島大水害9年、災害の教訓を後世に 各地で犠牲者を追悼

犠牲者の名前などが刻まれた石碑の前にキャンドルの形をしたLEDライトを並べる遺族ら(4日午前1時ごろ、那智勝浦町で)
犠牲者の名前などが刻まれた石碑の前にキャンドルの形をしたLEDライトを並べる遺族ら(4日午前1時ごろ、那智勝浦町で)
紀伊半島大水害の犠牲者を悼み、献花をする参列者(4日午前9時40分ごろ、新宮市熊野川町日足で)
紀伊半島大水害の犠牲者を悼み、献花をする参列者(4日午前9時40分ごろ、新宮市熊野川町日足で)
 県内各地で61人が犠牲となった紀伊半島大水害から、4日で丸9年を迎えた。死者・行方不明者が29人に上った那智勝浦町と、14人が犠牲になった新宮市では遺族や行政関係者らが犠牲者を追悼。災害の教訓を後世に伝えることや災害に強いまちづくりに取り組むことを誓い合った。

 那智勝浦町では同日午前1時から、那智谷大水害遺族会が同町井関にある「紀伊半島大水害記念公園」で追悼供養の行事を営み、遺族や関係者約25人が訪れた。

 例年は手作りのキャンドルを犠牲者の名前などが刻まれた石碑の前に並べているが、今年はコロナ禍の影響で用意できなかったため、キャンドルの形をした発光ダイオード(LED)ライトを並べ、黙とうをしたり、手を合わせたりした。

 母と姉を亡くした県職員の寺本圭太さん(31)=新宮市=はこの春、異動で地元に戻った。「自分は元気にやっているよと近況を報告した。今はどこで災害が起こっても不思議ではない時代。自分の命は自分で守ってもらいたいと思う」と話した。

 おいが犠牲になり、その後に父も亡くした遺族会の岩渕三千生代表(59)=三重県紀宝町=は「当時のことは、昨日のことのように思い出す。後世に伝えるため、こういう行事は絶対に続けていかなくてはならない」と訴えた。

 この日は午後1時半から町主催の慰霊祭が記念公園であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年は多くの遺族や関係者が参列する式典を中止。堀順一郎町長と岩渕代表が代表して献花をした。

 新宮市では同日午前8時半から、市消防本部が「消防安全の日の誓い」として、職員と団員計33人が殉職した2人の消防団員らを追悼。越水薫消防長が「市民の安心・安全を守れる新宮消防となるよう全身全霊で取り組むことを誓う」と訓示した。

 引き続き、午前9時半から同市熊野川町日足にある熊野川行政局で「紀伊半島大水害犠牲者追悼献花」があり、田岡実千年市長や市議ら35人が参列した。

 例年は、熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道熊野川」にある慰霊碑前で行っているが、強い雨が降り、雷注意報も出ていたことから急きょ場所を変更した。

 熊野川を望む行政局3階に設けられた献花台を前に、参列者が黙とうをして献花。田岡市長が「この災害で亡くなられた方々の無念の思い、ご遺族の深い悲しみを忘れることなく、今後も災害に強いまちづくりに全力で取り組む」と決意を述べた。

■職員らが黙とう 田辺市
 田辺市は4日正午、庁内放送を流し、職員らが黙とうして大水害で犠牲となった市民9人の冥福を祈った。

【紀伊半島大水害】
 2011年9月の台風12号による豪雨災害。紀伊半島を中心に広い範囲で記録的な大雨が降り、各地で土砂災害や河川氾濫が起きた。総務省消防庁などによると、和歌山県で56人、奈良県で15人、三重県で2人が死亡。3県で計15人が行方不明となった。他にも埼玉、兵庫、広島、徳島、香川、愛媛の6県で計10人が亡くなった。重大災害発生の恐れが著しく高まった場合に気象庁が出す「特別警報」を創設するきっかけになった。