和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年12月01日(火)

伝統行事にコロナの影 紀南の祭りが軒並み縮小

各地区の屋台が集結し、競り合う印南祭(和歌山県印南町印南で)
各地区の屋台が集結し、競り合う印南祭(和歌山県印南町印南で)
継桜王子の社殿の前で披露される県指定無形民俗文化財の「野中の獅子舞」(2019年11月、和歌山県田辺市中辺路町野中で撮影)
継桜王子の社殿の前で披露される県指定無形民俗文化財の「野中の獅子舞」(2019年11月、和歌山県田辺市中辺路町野中で撮影)
右手に扇、左手にササを持ち、音頭取りの太鼓に合わせて踊る県指定無形民俗文化財の「住吉踊」(和歌山県田辺市長野で)
右手に扇、左手にササを持ち、音頭取りの太鼓に合わせて踊る県指定無形民俗文化財の「住吉踊」(和歌山県田辺市長野で)
杵荒神社で華麗な寿式三番叟を披露する子どもたち(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)=写真はいずれも昨年
杵荒神社で華麗な寿式三番叟を披露する子どもたち(和歌山県田辺市中辺路町栗栖川で)=写真はいずれも昨年
 新型コロナウイルスの感染拡大が、和歌山県の紀南地方で例年行われている秋祭りにも影を落としている。参加者や見物人の感染防止が困難なため規模を縮小し、ほとんどの神社が神事のみ行う。関係者は「ただでさえ担い手が少ない中、伝統が廃れてしまわないか」と危機感を抱いている。


 例年10月2日に紀南地方のトップを切って営まれている印南祭は、印南漁港での屋台の競り合いや印南川の川渡りといった余興を中止する。印南祭は印南八幡、山口八幡の両神社の祭礼の総称。今年は各神社で関係者による神事のみ営む。

 田辺市中辺路町栗栖川の杵荒(きなら)神社では10、11の両日に予定していた奉納芝居が中止になった。11日に、役員で神事のみ行うという。

 杵荒神社祭典奉納芝居実行委員会の宮井章実行委員長(53)は「三番叟だけでもという声もあったが、どっちみち人が集まってしまうので、泣く泣く中止を決めた」と話す。これまで台風で芝居が中止になったことはあるが、練習はしていた。「1年間ブランクができると、来年人を集めるのが大変。今から声掛けをしている」という。

 上富田町市ノ瀬の春日神社で12、13日に営まれている奉納芝居も中止になった。

 毎年11月3日に、田辺市下川下(大塔地域)の春日神社で披露される県指定無形民俗文化財「上野の獅子舞」は、境内での奉納を中止する。関係者だけで神事を営む予定。同じ日に開催している「ふる里富里まつり」(実行委員会主催)も中止する。

 上野の獅子舞保存会の湯川剛会長(52)は「練習でも密になってしまうので、今回は我慢しようということになった。来年は再開できることを願っている」と話した。

 同じく11月3日に田辺市中辺路町近露の近露王子と近野神社、野中の継桜王子で奉納される県指定無形民俗文化財「野中の獅子舞」も中止の予定。近野獅子舞団の岡上哲三代表(74)は「祭りは地域の元気の源だが、もしも感染が出たらと考えると難しい。残念だが仕方がない」と話している。毎年この日に開催されている地域の恒例イベント「熊野古道平安の郷近野まるかじり体験」(実行委員会主催)も中止となった。

 田辺市長野の長野八幡神社も同日に例大祭を営んでいるが、県指定無形民俗文化財の「住吉踊」、獅子舞、子どもみこしの奉納は見合わせる。

 宮総代の奥芝平一郎総代長(77)は「秋祭りは毎年、里帰りの人たちも集まってにぎわう。神事のみとなり、そうした人たちの足が遠のき、来年からの参拝者が少なくなることが心配」と話している。