和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年11月25日(水)

作曲家・信時潔氏自筆の楽譜見つかる 田辺市の元長野中校歌

信時潔氏の自筆によるとみられる元長野中学校の校歌の楽譜。同校の金庫に保管されていた(吹揚克之さん提供)
信時潔氏の自筆によるとみられる元長野中学校の校歌の楽譜。同校の金庫に保管されていた(吹揚克之さん提供)
 大阪市出身の作曲家・音楽学者、信時潔氏(1887~1965)の自筆によるとみられる元田辺市長野中学校(和歌山県)の校歌の楽譜が、長野中の金庫に保管されていることが分かった。田辺市あけぼの、元小中学校教諭の吹揚克之さん(78)がこのほど、同市教育委員会の協力を得て見つけた。

 長野中の校歌の制作については、長野県出身で旧制広島文理科大学(現広島大学)学長を務めた長田新氏(1887~1961)が作詞を、信時氏が作曲を担当した。長田氏は被爆者の手記をまとめた「原爆の子」の編集でも知られ、当時、全国的にも著名な2人が関わっていた。

 吹揚さんは、こうした歴史を残しておこうと2人が関わることになった経緯を調べ、1992年に小冊子にまとめた。長野中が2015年に閉校となったため先ごろ、冊子の復刻版を製作した。その際、楽譜の原本の所在について関係者に問い合わせていた。

 吹揚さんによると、長野中の校舎が建て替えられた2000年当時の関係者から「校舎内の金庫にまだあるのでは」と連絡があった。市教委に連絡して金庫を開けてもらい、楽譜を見つけた。

 B4サイズを二つ折りにした大きさで、当時、東京に住んでいた信時氏から学校に直接送られてきたとされている。長野中では、「校歌」のタイトルと歌詞を書いた別の紙を添えて保管していた。

 吹揚さんは「学校の歴史の一端を知ってもらえる資料。地元の文化祭で公開するなどして活用してもらえたら」と話している。