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2021年10月26日(火)

田辺市から個人に不明な支出? 市民団体が説明求める

 田辺市の市民団体「市役所の東山移転の賛否問う住民投票市民の会」(畑中正好さんら共同代表)が14日、市の新庁舎整備事業を巡って、2018年5月に死亡した野﨑幸助さん=当時(77)=との間で不適切な金銭のやりとりがあったのではないかとして、市に経緯の説明を求める申し入れ書を提出した。

 新庁舎は東山1丁目のスーパー「オークワオーシティ田辺店」「紀伊田辺シティプラザホテル」の敷地を購入し、施設を解体して建設。23年度内の完成を目指している。

 記者会見した畑中さんは、市が新庁舎の移転候補地を決定する以前の16年7月6日に、野﨑さんに対して4千万円を振り込んでいたとみられる資料を入手したと主張。新庁舎の建設に伴い、現在オークワが新店舗を建設している敷地内に野﨑さんの土地があったとして、この4千万円の支出の経緯について説明するべきだと話した。

市「適正な手続き」

 市民団体の会見後、市の担当者が紀伊民報などの取材に応じた。用地買収に関わる個人情報や企業情報を当事者の許可なしに明かすことはできないと断った上で、16年7月6日に市がある個人に対して4千万円を送金したことは事実であると説明。ただし、これは新庁舎整備とは異なる市道改良工事の用地取得に伴う適正な手続きだったとしており、今後、団体に回答する方針という。

 市管理課によると、市は新庁舎整備とは別の事業として、オーシティ田辺店前を通る市道あけぼの東山2号線の改良工事を15~17年度に実施した。この道路は通学路であり、歩行者や自動車の通行量が多かったことから、長年、地元から改良への要望が寄せられていたという。

 市道整備用地の一部が、ある企業の所有地だったため、市が当の企業から16年6月に土地を買収。その際、ある個人の所有していた別の土地を、代替地としてその企業が購入した。

 公共事業のために代替地を提供し、事業用地提供者、市との三者による「三者契約」を結んだ場合、売却によって生じる譲渡所得については租税特別措置法上の優遇措置が受けられる。ある個人に対する支払いはこの制度に基づくものだという。

 同課の担当者は「新庁舎整備と市道改良は全く別の事業であり、今回の送金についても税法にのっとった適正な手続きだった」と話している。