和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年01月20日(木)

「地震の直前予知」

 「南海トラフ巨大地震の予知は難しい」と日本の地震学者の多くが経験的に考えていることが学会のアンケートで明らかになった。発生する時や場所、規模について、予知を100回試みても99回は失敗するという▼アンケートを実施した林能成関西大学教授(地震学)は「突然の地震でも被害を少なくする防災を進めるのが先決。予知を防災の前提としてきた過ちを繰り返さないようにすべきだ」と言っている▼パソコンや通信機器が急激に発達し、いまは万一の時の地震警報の伝達訓練さえ行われる時代である。この分では近い将来、地震の予知も可能になるのではないか、という期待感さえ持っていた▼しかし、天災は忘れた頃にやってくる。阪神大震災や東日本大震災などを経験して「直前の予知は不可能」「予知頼みではなく、突然の地震であっても、より被害を少なくするための防災が肝心」という考え方が広まってきた▼この考えを共有したい。地震が起きたらどうするか。学校や家庭では万一に備えて、避難先と避難ルートを確保し、繰り返し避難訓練をする。住宅の耐震化を進め、食料や水などの備蓄も怠らない。そのためには行政も手厚い援助をする。そういう基本的なことに、もっと目を向けたい▼田辺市の新庄地区には「90年に1度、大地震と津波がくる」という言い伝えがある。その時は急いで山へという言葉もある。そういう伝承を大切にしたい。(石)