和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2019年10月20日(日)

移住世帯が過去最多 和歌山の魅力発信を

 県人口が減り続けている。4月1日現在の推計では92万7808人。1996年の107万8801人から23年連続で減り続けており、その間に約15万人が減った。実に田辺市二つ分の人口が消失したことになる。これに手を打たないことには地域は疲弊する一方であり、自然減対策とともに社会的な減少にも歯止めをかけたい。

 県や市町村は2006年度から、県内での田舎暮らしを提案し、相談態勢を充実させたり、補助したりして移住支援の事業を進めている。

 こうした施策もあって、昨年度の移住世帯数は、過去最多の158戸(244人)となった。初年度の06年度は17戸(44人)しかなかったが、10年度61戸(102人)、14年度86戸(171人)、16年度114戸(192人)、17年度150戸(275人)と着実に伸ばしている。

 県によると、移住者は地元の会社に就職したり、農林水産業を始めたりする人のほか、自分で企画して起業する人も多い。古民家を改装した宿泊施設、カフェ、レストランの経営、絵画教室、マッサージ室、地元産農作物を使ったジャムなどの製造販売など多岐にわたる。休耕田を利用してソバを栽培したり、製炭士となって地元産業を継いだりする人もいる。

 県などはこれを応援する制度も整えた。本年度は国や市町村とともに、東京から移住して起業する人に補助する予定で、条件に合えば県はさらに金額を上乗せするという。地域の人から事業を引き継ぎ、活性化させる人には継業補助金があるし、農林水産業への就業補助金もある。得意なこと、やってみたかったことがあれば、自分で思い描いたものを仕事にできる環境がある。

 一方、移住後に「こんなはずではなかった」と後悔する人も少なくない。それを防ぐために県は仕事や生活を一定期間体験できる事業を実施。都市部でセミナーを開いたり、現地体験ツアーを企画したりして、先輩移住者から直接、暮らしの楽しさや課題を聞く機会も設けている。地元の「受け入れ協議会」が相談に乗る態勢も整えており、定住率は全国でも高い7割を維持しているという。

 美しい海、川、山に恵まれ、空気もうまい。温泉や景勝地、世界遺産などもたっぷりある。満員電車に詰め込まれて長時間の通勤をする必要もない。その分、私生活にはゆとりも生まれる。ゆったりとした時間を過ごしながら、自然の中でレジャーや子育ても楽しむことができるだろう。

 地域にとっても、外来者が増えることで活気づく。移住者による新しい発想で、さらなる活性化策が生まれるかもしれない。後継者の誕生も期待できる。

 田舎暮らしの人気は全国的に高まっている。その中で、いかに和歌山を選んでもらうか。県も市町村も、あらゆる機会を捉え、先輩移住者の成功例を積極的に紹介し、和歌山ライフの素晴らしさを発信してもらいたい。 (K)