和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年11月30日(月)

国の要件変更で農家が混乱 新型コロナ交付金

 新型コロナウイルス感染症対策で創設した農家への交付金制度を巡り、農林水産省の募集の仕方に不備があり、農家の混乱を招いている。当初の制度設計が甘く、想定を大きく上回る申請があり、後から条件を厳しくしたためだ。全国からの反発を受けて30日には追加の救済措置を発表するなど、状況は二転三転。振り回されている農家からは、困惑や不満の声が出ている。

 この制度は「高収益作物次期作支援交付金」。農家が次期作に前向きに取り組めるよう支援することが狙いで、肥料や農薬といった農業用資材の購入などに対して10アール当たり5万円(和歌山県田辺市などの中山間地域は5万5千円)、施設花卉(かき)の場合は10アール当たり80万円を交付する。

 農水省は当初、交付金の対象者を「今年2~4月に野菜、花卉、果樹、茶の出荷実績がある農家」とし、減収額の確認はしていなかった。ところが申し込みが殺到し、予算額を大幅に上回ったことから、10月12日になって要件の見直しを通知。すでに申請されている分も含め、交付対象を売り上げが減少した品目だけに限定し、農家にはその減収を証明する書類も提出するよう求めた。

 田辺市では、市やJAなどでつくる「市地域農業再生協議会」(事務局・市農業振興課)が実施主体となり、9月23日~10月30日に申請を受け付け。約580件の申し込みがあった。

 市農業振興課によると、市内ではミカンと梅の複合経営をしている農家が多い。青梅については2~4月は出荷時期から外れるが、当初の要件では「果樹」として分類され、交付の対象になっていた。しかし、見直し後の対象は売り上げが減った品目のみに限られ、交付額についても減収額を上限にすることとなったため、そうした農家では交付額が大幅に減ることが見込まれるという。

 運用の見直しを知った農家からは「対象から外れるかもしれない」「わざわざ仕事を休んで申請に行ったのに」など、問い合わせや批判の電話がこれまで数十件寄せられた。

 同市上秋津でミカンと梅を栽培する50代男性は「国が交付金を出してくれるのは助かるが、もう少し慎重に制度設計をしてほしい。申請には時間も手間もかかるのに、要件の変更によって無駄になることがあり得る。農家は困惑している」という。市の担当者も「申請期間の途中での運用見直しで、非常に困惑している。農家の皆さんには再度手続きをお願いしなければならず、心苦しい」と話す。

 協議会では当初、11月上旬から順次、交付決定通知書を届ける予定だったが、急きょ追加書類の提出を11月9~20日に受け付けることになり、交付決定が遅れる見込みという。

 与党の国会議員からも批判が相次いだことを受け、農水省は30日、交付金の支給を見込んで新たな資材購入などの先行投資をした農家らへの救済措置を公表。二転三転する状況に、今後も現場の混乱は続きそうだ。

■11月2日に説明会

 田辺市秋津町のJA紀南中央購買センター・コピアで11月2日、交付金の申請者らを対象にした説明会がある。近畿農政局の職員が今回の見直しについて説明する。

 時間は午前10時から、午後1時から、3時半から、7時からの計4回。質疑応答の時間もある。