和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年12月04日(土)

漁業調査船「きのくに」完成 串本で関係者らが祝う

新しい「きのくに」の前でテープカットをする関係者(和歌山県串本町串本で)
新しい「きのくに」の前でテープカットをする関係者(和歌山県串本町串本で)
 和歌山県が建造していた新しい漁業調査船「きのくに」がこのほど完成した。串本町串本の和歌山東漁協荷さばき所で2日に竣工(しゅんこう)式があり、仁坂吉伸知事ら関係者がテープカットなどで完成を祝った。


 県は、旧調査船の老朽化に伴い、新潟市の造船場で新しい船を造った。観測データを船上から陸上サーバーへリアルタイムに送信できるシステムなど、高精度な調査や迅速な情報発信が可能な最新調査機器を搭載している。全長34・89メートル、総トン数108トン。建造費は12億3618万円。最大搭載人員は11人。旧船は1996年11月の建造で、全長33・20メートル、総トン数99トンだった。

 漁業調査船は、同町串本にある県水産試験場で活用している。水温、潮流などの海洋観測や主要魚種の資源調査、魚群探知による漁況予測を行い、漁業者に情報を提供。未来の天然ガス資源として注目されているメタンハイドレートの調査もしている。

 この日の式典で仁坂知事は、漁業振興とメタンハイドレート調査という二つの目的を果たしていく船であり、旧船よりもスムーズに正確な情報を提供できると述べ「県の未来を開いてくれると確信している」とあいさつした。

 続いて県水産試験場の岩橋恵洋場長が「和歌山県における漁業調査船の役割」をテーマに講演。県の漁業と調査船の歴史について話し、新しい船で、これまでより精度の高い情報提供を目指していきたいと述べた。

 串本沖でのメタンハイドレート調査を監修している東京海洋大学の青山千春准教授は「魚群探知機でメタハイを見つけよう!」をテーマに講演。新しい船に搭載されている海底地形探査装置は、旧船の約17倍の能力があると説明。調査をより迅速に進めるため、メタンガス気泡の柱が魚群探知機に映った際には写真撮影し、県水産試験場に連絡してほしいと漁業従事者に呼び掛けた。

 式典の後には船内見学もあった。県農林水産部の角谷博史部長は「(新しい船で)有益な情報を迅速に提供して漁業振興に貢献していきたい」と話した。