和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年01月19日(水)

「高齢者受難」

 東京でまた、高齢者ホームの入居者が看護職員に殺された。介護施設や在宅看護サービス職員による高齢者虐待は増加の一途だ。「人手不足が招いた職員の質の劣化」と厚生労働省は指摘する▼人口の4人に1人余りが65歳以上の高齢者。平均寿命は男女とも80歳を超えてめでたい限りだが、その前の介護期間が平均で男性は9年、女性は12年ある▼独り暮らしも多く、老後は結構厳しい。大金をはたいて施設に入っても、時には虐待が待つ。「おれおれ詐欺」の被害者も、その多くは高齢者だ。庶民は「ピンピンコロリ」の「ポックリ往生」を願うしかないのか▼各地のポックリ寺は高齢者で大にぎわいだが、有名な東京巣鴨の地蔵通り商店街では、排便でお世話にならない効果があると称する赤いパンツが大変な人気らしい。トイレをまたいで自力排便を祈る「おまたぎ」なる儀式もあるという▼高齢者講座で知ったのだが、不安心理に付け込むような商売もいろいろあるらしい。「自宅で熱心に拝め」という触れ込みの家庭用ピンコロ地蔵も売り出されている▼「入棺体験会」なるものもある。白衣に三角頭巾という死に装束で実物の棺おけに入り、死んだ気分を味わってみる。それを家族がじっと眺めるという、有料の疑似体験会だ▼それを体験したという主婦は夫の死に姿に「涙が出た」と語る。家族の結び付きには効果はありそうだが、そこまでする姿は物悲しい。(倫)