和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年01月28日(木)

クマノザクラを守れ 古座川町で保全活動紹介

クマノザクラの現状について説明する矢倉寛之さん(左から2人目)=8日、和歌山県古座川町小森川で
クマノザクラの現状について説明する矢倉寛之さん(左から2人目)=8日、和歌山県古座川町小森川で
 クマノザクラの保全活動などを紹介するイベントが8日、和歌山県古座川町小森川であった。県内外の約15人が参加し、樹木医の矢倉寛之さん(38)=古座川町長追=から、減少しているクマノザクラの現状などについて話を聞いた後、地区内で整備が進むクマノザクラ保存林を見学した。

 紀伊半島南部に自生するクマノザクラは、国内の野生のサクラとして約100年ぶりの新種と分かり、2018年に発表された。開花した姿が美しく、観賞木としての利用も期待されており、古座川町は「町の花」にしている。

 矢倉さんによると、同町の在来種であるクマノザクラは、過去に造林で天然林が伐採された他、山の手入れが行われていないために必要な光が足りないことや、シカやウサギが食べるなどの理由で、若い木が少なくなっている。ソメイヨシノ、オオシマザクラなど、外来のサクラとの交雑も生じており、保全していく必要があるという。

 矢倉さんは、19年に一般社団法人「樹木医甚兵衛」を設立し、小森川で栽培地の開墾作業や苗木の栽培に取り組んでいる。将来的には小森川をクマノザクラの名所にしたいとの思いもあり、小森川出身の養蜂業、野口貢盟さん(57)=串本町潮岬=や地域住民も協力している。 

 小森川は県の名勝・天然記念物「滝の拝」から北へ約12キロの集落。かつて15戸ほどが暮らしていたが、少子高齢化の影響で現在、住人は1人になっている。

 この日、神玉神社の社務所で講話した矢倉さんは、クマノザクラだけではなく、町内や周辺地域には、絶滅する危険がある固有の植物が数多く分布していると説明。小森川も消滅する可能性がある地域であると述べ、クマノザクラを軸にして、貴重な植物や地域文化を守る活動を続けていきたいと協力を呼び掛けた。

 今回は、樹木医甚兵衛が主催した初のイベント。小森川地区に人を呼び込むため、月1回ペースでイベントを開いていく予定だという。