和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2020年11月29日(日)

質や価格ではなく“飲みやすさ”がコンビニコーヒーの明暗分ける? 飲み口の“大小問題”、どちらに軍配挙がる?

苛烈極めるコンビニコーヒー、勝敗ポイントは「飲み口の大きさ」?(C)oricon ME inc.
苛烈極めるコンビニコーヒー、勝敗ポイントは「飲み口の大きさ」?(C)oricon ME inc.
 先日SNSで「(コンビニの)コーヒーフタの飲み口が広くなって飲みやすくなった!」という写真付きの投稿が広く話題を集めた。コンビニコーヒーといえばワンコイン(100円)で専門店並みの高品質を提供できるということで、各社がしのぎを削っている現状だ。だが、品質や価格帯も行きつく先は同水準、最後には「ユーザビリティ(使い勝手)」が雌雄を決する決め手となるはず。ホット飲料が活気を帯びる中、ファミリーマートは10月末から飲み口の部分を“ひっそり”と変更。飲み口の大小に関しては双方ともにメリット・デメリットはあると思うが、ユーザーがチョイスするのは? 同社商品マーケティング本部の守屋省吾氏に真意を聞いた。

【写真】「飲み口を開けるとウォーズマンいた」「汗をかいたウォーズマンにしか見えない」改良版のフタがまさかの展開に… ほか、従来との比較画像など

■社会現象ともなったコンビニコーヒー、“ヒット”と“伸び悩み”から見えたもの

「SNSで、当社の『新・香る広口リッド』についてのお客様の投稿が話題を呼んだことは、私も承知しております。正直、大変うれしく思いました」(守屋氏/以下同)

 コンビニコーヒーの歴史は2000年以前にすでにスタートしていた。コーヒー文化は缶コーヒーが主流であり、コンビニ店頭で注文を受けてコーヒーを提供するスタイルは、なかなか日本では定着せず各社苦戦をしていた。そんな中、セブン-イレブンで「セブンカフェ」を開始したのが2013年。ファミリーマートも同年カウンターコーヒーの展開を本格的に始めた。それを機に“手頃な価格”で“本格的なコーヒー”が味わえるということが急速に広まっていき、コンビニコーヒーは社会現象的な商品となったのである。

 ファミリーマートは当時、エスプレッソマシンを採用。最初に強く打ち出したのはカフェラテ。2014年秋からテレビCMや店頭プロモーションをスタートさせ、そこから販売は右肩上がりを見せた。しかし、2017年にサントリーが販売したペットボトルコーヒーの『クラフトボス』シリーズが大ヒットすると、コンビニコーヒー市場そのものが伸び悩み始める。

 ファミリーマートは、しっかりとコクがありながら後味をスッキリさせた“日本人好み”のドリップ抽出に注目。またカフェラテはミルクがフワフワで、ミルクリッチなものが女性客の好みに合うというデータをもとに、2018年にマシンそのもののリニューアルを行なう。さらに今年、温度と時間を徹底管理し化学反応をコントロールした「甘味焙煎」の技術を確立し、ブレンドコーヒーもリニューアルした。

「テレビの食レポを見ても分かるのですが、肉でも魚でもレポーターさんは『甘い』という言葉を口にします。つまり、美味しいものには“甘味成分”が入ってる。またコーヒーのキャッチコピーと言えば、コクとか香り、酸味、キレなどの言葉が浮かびますが、当社が調査したところ、その言葉もお客様にはコーヒーの「美味しさ」のワードとしてしっかり届いていないことが分かりました。そこで“甘味”に注目したのです」

■飲み口が大きければ香りが楽しめる、だが大き過ぎてもこぼしやすい…友人のひと言も改良の助けに

 リニューアルされたコーヒーは世界一のバリスタである粕谷哲氏との共同開発。コーヒーはもともとコーヒーチェリーと呼ばれる果実であるため、そもそも甘味がある。これを引き出すためにファミリーマートは豆の焙煎時の温度と時間に徹底的にこだわった。それにより豆にメイラード反応・カラメル化が発生し、豆本来の甘味を引き出すことができる。玉ねぎを飴色にまで炒めると甘くなる、同じ原理だ。

「これによりさらに際立つ甘味や香りをお客様に味わっていただくためのものが、『新・香る広口リッド(飲み口)』です。実は私は数年前からメーカー様と「コーヒーの豊かな香りをいっぱい味わってもらえるフタはないものか?」と話し合っていました」

 当時、JT飲料がキャップ型の缶コーヒー『ルーツ アロマブラック』を販売。だが、2015年に飲料事業撤退とともに商品も消滅。その後、サントリー食品インターナショナルがブランドを取得し、商品もリニューアル。飲み口そのものが鼻に届くほど大きく、リキャップ可能なボトルとして生まれ変わった。他社も追随するように広口ボトル缶を採用し、同タイプがスタンダード化した背景があった。

 同社のアンケートでも消費者がコーヒーで一番好きなのは“香り”であることが判明。飲む際に香りがダイレクトに感じられる場所はコーヒーのフタ。広口ボトル缶のヒット、コーヒーの“香り”への着目がフタの開発・改良へとつながった。

 大きすぎると、こぼれやすくなる可能性がある。適切な広さはどのぐらいか。またコーヒーのフタで気になるのは、フタの部分にコーヒーがたまり、最終的にフタを開けないと飲み切ることが出来ないこと。それをどうやって解決するか。多くの試作を繰り返した。また飲み口の下の部分に凸凹を配置。この凸凹もSNSでは「唇をつけた時に、熱さを感じないよう工夫されているのではないか」と称賛の声も。

「実はあの凸凹は、飲み口がどこか唇の触れた感覚で分かるようにするためのものでもある。ある日、友人と話をしていたところ、『コーヒーのフタって、何気なく飲んでいると、どこが飲み口か分からなくて怖い』と言ったんです。これに着想を得てデザインしました」

■SNSの不評の声も真摯に受け止める「改良にゴールはない」

 こうした“お客様第一主義”が今回、SNSでバズるきっかけになった。当然、同社としては、注目してもらいたいのは“味”だろう。だがその“味”や“香り”をより感じてほしいための工夫が「飲みやすい」「猫舌でも冷ましながら飲めて便利」などのユーザビリティの評価につながったのは間違いなく、面白い現象だと言える。

 もちろん、「改良にゴールはない」と守屋氏。今もさまざまな研究を続けており、今回話題になった『新・香る広口リッド』の改良も続けている。

「SNS等を拝見していますと、飲み口が広くなったことを評価していただいている一方で、例えば『飲み口が大きくなったから、車の中で飲む時にこぼそうで不安や、『前のほうが良かった』など厳しいお声も…。改良にゴールはありませんので、お客様からいただくご意見は常に真摯に受け止めています。やはり、厳しい意見にめげるときもありますが、そのようにお客様の声を直接いただけることは、本当にありがたく思っています。何でお困りなのか、何がお気に召さないのか、SNS等で可視化されることで、スピード感を持って改良につなげることができるからです」

 好評も不評も、消費者の声を真摯に受け止め、改善を続けていく。結果、ユーザビリティが向上し、インフレしたコンビニコーヒー業界のなかで、とくにフタに関しては、同社が一石を投じた印象を持つ。これから同業他社もこれに追随する動きを見せてくるだろう。するとまた新たなユーザビリティが偶然誕生し、SNSなどで話題になっていくかもしれない。

 昨今、誹謗中傷の多さなどで悪いニュースの多いSNSだが、ユーザーが自発的に発信できる場所であるからこそ、飛び抜けたアイデアは話題になりやすく、商品の宣伝にもつながりやすい。そしてSNSのメリットが出るその“鍵”は、今回のようにユーザビリティにあるのかもしれない。

(取材・文/衣輪晋一)

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