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2024年03月29日(金)

鶏6万7千羽殺処分へ 紀の川市の鶏舎で鳥インフル

和歌山県庁
和歌山県庁
 和歌山県と農林水産省は10日、紀の川市の養鶏場の採卵鶏から鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。高病原性の可能性がある。県は自衛隊の協力を得て、全庁態勢で約6万7千羽を殺処分する。14日午前9時までの完了を目指す。


 養鶏場から9日、県家畜保健衛生所に死んだ鶏が増えていると連絡があり、衛生所の簡易検査で陽性を確認。衛生所がさらにPCR検査をしたところ、10日にH5亜型の遺伝子を確認した。国が詳細を検査する。

 今季に入り香川、兵庫、奈良などで感染が確認されており、今回を含めて全国で8県となった。2011年にも紀の川市の養鶏場で発生しており、県内では2例目になる。

 県は10日午前8時、対策本部会議を開き、自衛隊に災害派遣を要請。9時に殺処分を開始した。作業は県職員149人と自衛隊130人の約280人態勢で進めていく。殺処分した鶏は密閉容器で一時保管し、焼却処分する。

 仁坂吉伸知事は対策本部会議で「各持ち場で、最大限の努力をお願いしたい。殺処分と同時並行で原因を調べ、他の養鶏場への対策を緊急にやりたい」と話した。

 会議の後、知事は記者会見を開き「すべての鶏舎に注意を出し、見回りし、見張っていたが、突破されてしまった。殺処分を完了し、原因を究明し、他に波及することがないようにしたい」と話した。

 発生養鶏場から半径3キロ以内の卵や家禽(かきん)の移動を禁止するとともに、検査などをする。肉用鶏の鶏舎1戸440羽が対象になる。また、3~10キロ以内にある肉用鶏の3戸1万7千羽と採卵鶏の3戸5096羽は区域外への搬出を禁止する。

 県は周辺に5カ所、畜産関係車両などの消毒ポイントを設置。現時点では他の養鶏場で異常は確認されていない。市場に出ている鶏肉や卵から人に感染することはないという。

■野鳥からも検出 和歌山市

 県は9日、和歌山市で3日に回収された死んだオシドリ1羽についても、高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表した。県の簡易検査で陽性となり、鳥取大学が確定検査をしていた。周辺には鶏舎はない。県は死んでいる野鳥を見つけた場合、触れずに振興局などに連絡するよう呼び掛けている。

■ 風評被害対策など要望 知事 農水副大臣に

 農林水産省の宮内秀樹副大臣が10日、県庁の仁坂吉伸知事を訪問。仁坂知事は「速やかな手続きや支援、鶏肉や卵について科学的な安全性を発信し、風評被害が起こらないようにしてほしい」と求めた。宮内副大臣は「初動対策で、この1カ所で封じていただきたい。風評被害を大変心配している。肉や卵を食べることで、人が感染する可能性はないということを政府としてもしっかりと伝えていきたい」と答えた。