和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年01月24日(月)

「6月の花嫁」

 6月に結婚する女性は、欧米ではジューン・ブライド(6月の花嫁)と呼ばれて祝福される。ローマ神話で6月は女性の守護神ユノの月とされるからで、華やいだ雰囲気がある▼その前の数カ月は欧州では農繁期で、この間の結婚は敬遠されていた。終わって6月は気候も一番良く、一転祝賀ムードに包まれる▼日本では梅雨の時季になり、以前は結婚式が大幅に減った。しかし、あるホテルの知恵者がジューン・ブライドを徹底的に宣伝し、若者に大いに受けた。不利を逆転させた企業戦略が功を奏したのだ▼西洋文明が日本社会に多様な形で入り込み、定着した例は非常に多い。その入り口になった横浜には、例えば上下水道、電信業、テニス、日刊新聞、公衆トイレ、ホテル、ガソリンスタンドなど、日本での発祥地が数多く残っていると、歴史研究家の本間美加子さんはいう。それらの日々が公的に顕彰されているわけではないが、関係者はそれなりに留意している▼一方で6月2日は「裏切りの日」でもあるという。1582年、明智光秀が主君の織田信長を殺した、あの「本能寺の変」にちなんだもので、こちらは純国産。この日が後世の日本史を大きく変えたことは間違いないが、6月に「裏切りの日」が同居しているのは、ちょっとした皮肉かもしれない▼信頼を基本に祝福される結婚式と、裏切りを結び付ける発想は禁物だから、念のために補足しておく。(倫)