和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2022年01月25日(火)

「19年も続く不正」

 公僕という言葉がある。辞書では「公衆に奉仕する者」「公務員などの称」と説明している▼しかし、田辺市や白浜町では別の意味もあるようだ。特定の団体や力のある人にすり寄る人、あるいはそうした人たちの意向に沿って行政をゆがめる人というような意味だ▼そんなことを思うのは、田辺市や白浜町が和歌山南漁協に公金を支出する際、数多くの不正があったことが分かったからだ。本紙の報道を機に、市が昨春から約28万件の書類や領収書などを照合して調べた結果、イセエビ放流事業では2017年度までの19年間に1千万円近い不正な支出があり、市が事務局を担当する「市水産振興会」の海面環境保全事業でも約347万円の不正があった▼さらに、同じ期間に別の放流事業の補助金などとして支出した約9千万円に関しても「50%程度が不正、または不適正」という疑いが出ている▼不正に公金を受領した漁協の罪も重いが、その不正に市職員が関与し、水増しした実績報告書を作り、不適切な会計処理をしていたことも見逃せない。それが19年間も続いていたのに、本紙がスクープするまでは、市も議会も問題にしなかったこと、白浜町でも内部告発で不正が指摘され、補助金の一部返還につながったのに、誰も責任を取っていないことにも驚く▼これで胸を張って「公の奉仕者です」と言えるのか。市の幹部、議員諸公には、とくと考えてもらいたい。(石)