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コロナ禍でも災害に備え  学校、地域、行政が防災訓練

地域の消防団と意見を交わしながら防災ゲームを進める新庄中学校の3年生(29日、和歌山県田辺市新庄町で)
地域の消防団と意見を交わしながら防災ゲームを進める新庄中学校の3年生(29日、和歌山県田辺市新庄町で)
通信訓練で、各集落から無線による被害状況の報告を受ける田辺市職員(30日、和歌山県の田辺市役所で)
通信訓練で、各集落から無線による被害状況の報告を受ける田辺市職員(30日、和歌山県の田辺市役所で)
 今年は東日本大震災と紀伊半島大水害の発生から10年の節目。和歌山県内ではコロナ禍で人が集まるのが難しい中でも、学校や地域、行政でさまざまな防災訓練が行われている。

■ゲームで避難所運営 田辺市新庄中生徒と消防団員ら協力

 田辺市の新庄中学校で29日、災害時の避難所運営を疑似体験するゲーム「HUG(ハグ)」に3年生41人と地域の消防団員・消防職員14人が8チームに分かれて挑戦した。同校は市の避難所に指定されている。ゲームでは次々と避難者が訪れ、トラブルが続出する中、意見を出し合いながら対処した。

 HUGは「避難所運営ゲーム」の頭文字を並べた造語。プレーヤーは避難所運営の担当者となり、進行役が配布する「避難者カード」を年齢や被災程度などに合わせ適切に配置していく。防災意識を高めるほか、正解のない課題を話し合うことで、限られた資源や情報の中で判断する力も身に付くという。

 ゲームは1月23日の日曜午前11時、マグニチュード(M)8・7の地震が発生したと想定。正午になり、雨が強まる中、避難所になった新庄中の前には100人ほどの避難者がおり、素早い判断が求められる―という状況で始まった。

 「赤ちゃん連れがいる」「ペットが一緒だ」「たばこを吸いたいんだって」「毛布が届いたけれどどこに置けばいいだろう」「マスコミが取材用の駐車場を問い合わせている」。プレーヤーは次々配られるカードを読み上げ、対策を考えた。

 各チームとも議論は白熱。「赤ちゃんのいる家族は(防音設備のある)音楽室に行ってもらおう」「健康な人は優先して3階へ」「犬は自転車置き場につなごう」「取材での駐車は一時的だから心配ない。取材は本部で対応してもらおう」。方針に沿ってカードを学校の教室や体育館に見立てた紙の上に配置した。

 中村吏斗君は「さまざまな事情がある避難者一人一人に対応するのは大変。優先順位を決めて対処できたのは良かった」、大久保聖志琉さんは「いろんな意見が出るからまとめるのが難しいと感じた。でも、しっかり話し合えば、自分の提案と違う結論になっても納得できた」と手応えを感じた様子だった。

 桑原仁史校長は「中学生なら避難所でも戦力になれる。地域の大人と意見を交わして物事を進める良い機会になった」と話した。

■孤立集落想定し通信確保 県内各地で無線訓練

 県内各地で30日、孤立集落が発生したと想定した訓練があった。住民側は防災行政無線などを使って市町村に被害状況を連絡し、職員が集まった情報を県に報告した。

 大規模災害に備え、毎年実施している。県南方沖でM8・7の地震が発生し、県内で震度5強~7の揺れを観測したと想定。この日を中心に、県内28市町村から孤立の可能性がある392集落が参加した。

 田辺市では45集落が参加。各集落の代表者が「土砂崩れがあったため孤立状態となっている」「重傷者が1人いて救急搬送が必要。至急ヘリコプターを要請する」などと無線で連絡し、操作方法を確認した。

 いずれの集落も通信は良好。市職員は確認した被災状況を県防災情報システムに登録し、防災電話も使って県に報告した。

 防災まちづくり課の担当者は「住民の方々が使い方をよく把握してくださっており、スムーズにできた。災害時でも通信を確保できれば現地の状況や要望を把握することができ、安心につながる」と話した。

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