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タクシーで学童保育所へ 田辺市の小規模5小学校児童

田辺市役所
田辺市役所
 和歌山県田辺市は4月から、学童保育所のない小規模小学校5校について、利用を希望する児童を近隣の学童保育所にタクシーで送る事業を始める。共働きの家庭が増えており、保護者から利用を求める声も寄せられていた。

 現在、市内で学童保育所が設置されているのは、25校のうち14校区にとどまっている。市は学童保育所について「10人以上の利用」という設置基準を設けているため、児童数の少ない小規模校での設置が進んでいない。

 そこで4月からは、学童保育所の利用を希望する3年生までの児童のうち、大坊小と上芳養小の児童は中芳養学童保育所に、秋津川小と長野小は上秋津学童保育所に、近野小は中辺路学童保育所に、それぞれ平日の放課後、タクシーで送る。迎えは保護者が各自で行う。

 これらの児童の学童保育料は市内で従来利用している家庭と同様、月8千円とし、タクシー代は市が負担する。市は2021年度の当初予算案に、タクシー代として450万円を計上している。

 利用を希望している長野小の40代の母親は「共働きで夫婦とも帰宅する時間が遅いので、学童保育所が利用できるのは非常に助かる」と話している。

 一方、学童保育所が1カ所もない龍神と本宮地域にある6小学校(龍神、上山路、中山路、咲楽、三里、本宮)では、依然として利用できないままだ。

 この2地域では長期休暇中に「子どもの居場所づくり事業」をしており、保護者の就労の有無などに関係なく1年生から6年生までの子どもたちが利用している。平日放課後の対応については、市子育て推進課は「ニーズが高まれば検討する」としている。

 学童保育所は、共働き家庭やひとり親家庭などの小学生を放課後や長期休暇時に預かる。県子ども未来課によると、昨年7月1日時点での全小学校区における学童保育所の実施率は、県全体で89・22%。30市町村のうち18市町は100%を達成している。

 紀伊民報の調べでは、達成率の低い自治体でも多くが学童保育所に代わる子どもの居場所を設けており、田辺市は最も設置の進んでいない自治体の一つ。利用できる対象も、多くの自治体が小学6年生までとしているが、田辺市は小学3年生までとしている。

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