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すさみの海に魅せられて 大阪から移住しサーフボード作り

キリ製のサーフボードを製作する河野優さん(和歌山県すさみ町見老津で)
キリ製のサーフボードを製作する河野優さん(和歌山県すさみ町見老津で)
ケンケン漁で使う潜航板
ケンケン漁で使う潜航板
 和歌山県すさみ町周参見に大阪府和泉市から移住した河野優さん(51)が、同町見老津にサーフボード作りの拠点を構えた。サーフィン歴は約40年。「良い波があればすぐ乗れる場所に住みたい」という思いをかなえた。町で盛んなひき縄漁(ケンケン漁)に使う潜航板作りも手掛け、地域の自然を生かした誘客に取り組む町観光協会にも協力していくという。

■産業振興にも協力

 拠点名は「カスタム・サーフボード・デザイン」。道の駅「イノブータンランドすさみ」裏にあり、大型トラックのコンテナ(延長12メートル、高さ2・6メートル、奥行き2・5メートル)を使っている。サーフボード工場は県内でも珍しい。

 サーフィンとの出合いは中学生の時。本場の米国ハワイに1カ月滞在したこともあるという。次第にボード作りへの興味が湧いた。全国各地を回ったが、和歌山の海は波の質が良いという。

 ポリウレタンなどでできた原型を削り、樹脂でコーティングして磨く工程で作るのが一般的だが、現在は木製を製作中だ。素材に選んだのは、比較的軽く、ゆがみも少ないキリ。

 強度や全体のバランスを考えながら、長さ2・3メートル、幅54センチ、厚さ8・5センチというやや大きめのボードにする。「これが完成したら、大きな波に乗るのが今の夢かな」と笑いつつ「いつか、すさみ産の木でボードを作ってみたい」と語る。

 ケンケン漁の潜航板作りを始めるのは、町内の知人に声を掛けられたことがきっかけ。かつては町内にも製作者が多くいたが、高齢化もあり、ほぼいなくなってしまったという。完成品は地域の漁師に使ってもらうつもりだ。

 今年1月に家族で移り住んだ町について「人情味のある人ばかりで、とてもいい町」と評し「ボードを通じ、少しでも多くの人に自然の楽しさ、大切さを広めたい」と話している。今後は、観光協会が活用を考えているスタンドアップパドルボード体験の指導役も担うという。

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