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コスト削減が課題 スマート農業の実証結果まとめ

スマート農業の効果を実証するため、リモコン式自走草刈り機を操作する関係者(和歌山県上富田町岡で)
スマート農業の効果を実証するため、リモコン式自走草刈り機を操作する関係者(和歌山県上富田町岡で)
 農業にICT(情報通信技術)やロボット技術などの最先端技術を取り入れた「スマート農業」について、和歌山県うめ研究所(みなべ町東本庄)などは、2年間取り組んだ実証の結果をまとめた。農機具と維持費が高額であることを課題に挙げ、経費低減の必要性を示した。


 農林水産省の事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」で、うめ研究所のほか、県果樹試験場や日高・西牟婁両振興局農業水産振興課、JA紀州、JA紀南、みなべ町西岩代の森川農園、上富田町岡の井澗農園などが2019年度から2年間かけて実証に取り組んだ。

 梅栽培では、除草やかん水、収穫した作物の運搬などに要する作業時間を16%削減▽ミカン栽培でも作業の労力や所要時間を23%削減することを目標に設定。リモコン式自走草刈り機、自動かん水装置、リモコン式自走運搬車、パワーアシストスーツ、農薬散布用ドローン(小型無人機)、肥料散布機を使って効果の実証を目指した。

 結果、リモコン式自走草刈り機のエンジン式大型機は作業時間が最大31%削減できたが、刈り具合にむらがあり、高額が課題。充電式小型機はパワー不足で、時間削減の効果もあまり見られなかった。

 自動かん水装置は最大90%の作業時間削減につながったが、これも高額が課題。リモコン式自走運搬車は作業時間削減が5%にとどまり、費用対効果がよくなかった。パワーアシストスーツは、腰の疲労感はやや軽減されたが、足に負担が増え、改良が必要だった。

 ドローンは使える農薬が少ないという課題があるが、作業時間は半分以上の軽減につながった。肥料散布機は作業時間が最大で53%削減し、効果があったという。

 うめ研究所は「農機具の価格や維持費が高いことが最大の課題だ」とし、近隣農家との共同利用のほか、スマート農機が使いやすい園地に改良し、稼働率を上げ、経費削減を図ることなどを示した。

■「秋津野」も実証中

 田辺市上秋津の農業法人「秋津野」も、JA紀南や和歌山大学、田辺市、県などとともに共同事業体を組織し、国の事業として20年度から2年間の計画で実証に取り組んでいる。

 草刈り機の作業では、平たんな園地で真夏の作業時間が83%削減できた。観測は始まったばかりで分析はこれからだが凍害が心配された1月9日未明には、標高の低い園地がより冷え込んだことを確認したこともあった。

 実証では、病害虫防除の経費を5%削減▽農家による情報共有で作業効率の向上▽草刈りの作業時間を3分の1まで削減―を目標に、観測装置20基を上秋津地区の各園地に設置して気象データを収集するほか、20農家がオンライン農作業日誌アプリを使って情報を共有。リモコン式自走草刈り機は、エンジン式大型機を使って効果を探っている。

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