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近大の養殖研究成果を展示 串本海中公園

水中トンネル水槽の中を泳ぐ近大マグロ(和歌山県串本町有田で)
水中トンネル水槽の中を泳ぐ近大マグロ(和歌山県串本町有田で)
シベリアチョウザメを見る親子
シベリアチョウザメを見る親子
 和歌山県串本町有田の串本海中公園センター水族館で5日から、近畿大学(大阪府東大阪市)が世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロ「近大マグロ」など、近大の研究の成果を展示する企画展「近大養殖の世界」が始まった。初めての取り組みで、水族館の森美枝館長(54)は「普段は見ることが難しい泳ぐ近大マグロなどの姿を楽しんでいただきながら、身の回りの食生活や環境について考える機会になれば」と話している。9月末まで。

 森館長によると、同館にある長さ24メートルの水中トンネル水槽では2006年から、野生のものを蓄養したクロマグロの飼育に取り組んできた。2019年にいなくなってしまったが、クロマグロは資源保護の観点などから入手するのが難しくなってきていることもあり、水族館では「せっかくなので串本町の紀伊大島で完全養殖されている近大マグロを」と検討。他の養殖魚の紹介と合わせた企画展を、近大と近大発のベンチャー企業「アーマリン近大」(白浜町)の協力で開催することになったという。

 水中トンネル水槽では、昨年7月に串本町で生まれ、40センチほどの大きさに育ったクロマグロ3匹を飼育。このほか、クエとタマカイの交雑種で、クエと遜色のない味ながら成長が早いという「クエタマ」、イシダイとイシガキダイの交雑種「キンダイ」、世界三大珍味「キャビア」を製造してアーマリン近大を通じて販売している「シベリアチョウザメ」など、5日現在は6種18匹を展示している。

 田辺市中辺路町西谷の造形作家、石田貴志さん(46)が作ったクエタマの模型も展示。今後、ブリとヒラマサの交雑種「ブリヒラ」などが加わる予定という。

 また、約20枚のパネルやビデオの上映を通じ、養殖魚の説明や近大の水産研究の歴史などを分かりやすく紹介している。

 森館長は「今年から飼育を始めた近大マグロは、野生のマグロと比べるとおっとりしていると感じ、試行錯誤しながら取り組んでいる。多くの方に和歌山県で活躍されている近大の皆さんの業績や成果を知っていただけたら」。近大水産養殖種苗センターの岡田貴彦センター長(64)は「日本中の水族館でも、このような企画展を開いていただくのは初めてで画期的。養殖魚を広く認識していただく企画は大変ありがたく、興味を持っていただけたらうれしい」と話していた。

 問い合わせは、串本海中公園センター(0735・62・1122)へ。

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