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寸断の市道10年ぶり開通 田辺市熊野、大水害で土石流

復旧工事の現場に整備された道路。一般車両の通行が可能となった(9日、和歌山県田辺市熊野で)
復旧工事の現場に整備された道路。一般車両の通行が可能となった(9日、和歌山県田辺市熊野で)
 2011年9月の紀伊半島大水害で甚大な被害を受け、通行止めが続いていた和歌山県田辺市の熊野(いや)と木守を結ぶ市道が復旧し、10日から一般車両が通行できるようになった。全体的な事業は今後も継続していく。


 寸断されていたのは、市道木守杣谷線。11年9月4日、熊野地区で集落上手の山が崩壊して熊野川に土砂が流れ込み、市道が寸断された。熊野地区の奥に位置する木守地区の住民は鮎川方面に行く場合、国道371号を迂回(うかい)していた。

 復旧工事を進めている国土交通省近畿地方整備局の紀伊山系砂防事務所(奈良県)によると、整備した道路は延長約1053メートル。寸断されていた上流と下流をつなぎ、市道として市に引き渡した。

 復旧工事では道路の整備のほか、階段状の排水路を設けて大型の砂防えん堤(高さ14・5メートル、長さ145・65メートル)を整備し、山の斜面が再度崩れないように整えるなどした。今後は河床の浸食を防ぐため階段状に整備するなどの工事を随時施工していく予定。

 熊野地区の岡田克哉区長(61)は「木守地区の方が不自由していたのがつらかったが、やっと道路が通れるようになり、本当にありがたい。災害で失ったものは大きい。ここで起きた災害を忘れてほしくないし、二度とこんなことが起こらないでほしい。住民が減って寂しいが、これからもこの地区を見守っていきたい」と話した。

 紀伊半島大水害は11年8月30日から9月4日にかけて、台風12号の通過により激しく降り続いた雨の影響で発生した。県内だけでも死者と行方不明者は61人に上り、熊野地区では3人が犠牲になった。

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