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炎天下でミカンの摘果 紀南の農家、欠かせぬ作業に大汗

温州ミカンの摘果作業をする農家の前田泰輔さん(和歌山県上富田町岡で)
温州ミカンの摘果作業をする農家の前田泰輔さん(和歌山県上富田町岡で)
摘果作業で地面に落とした温州ミカンの実
摘果作業で地面に落とした温州ミカンの実
 ミカン産地の和歌山県紀南地方では、炎天下、農家がミカン作りに欠かせない摘果作業に汗を流している。2日、上富田町岡、JA紀南みかん部会長を務める前田泰輔さん(49)の温州ミカンの畑を訪ねた。(湯川優史)

 前田さんは極早生や早生の温州ミカン、不知火を計2・5ヘクタールで栽培している。

 摘果作業は多くつき過ぎた実を間引いて、適正な大きさにしたり、品質を良くしたりすることが目的。梅の収穫が終わってから、7月ごろから9月ごろにかけてする。盆くらいまでは、つき過ぎた実を落とす「粗(あら)摘果」をし、8月後半ごろからは、落としきれていなかった実や傷のある実を落とす「仕上げ摘果」をする。

 昨年は自然に落ちる生理落果が多かったので、夏場にそれほど摘果する必要はなく、仕上げ摘果をするくらいだった。今年は着果も良好で、きちんと摘果しないと実が大きくならないという。

 この暑い時季、農家はファン付き作業服を着たり、熱中症対策で梅干しを食べて作業したりするなどしているといい、前田さんも遮熱機能のある帽子をかぶっていた。

 前田さんは、枝や実を両手でつかみ、次々と実を落としていく。その手早さに驚いた。どの実を残し、どれを落とすか、瞬時に判断しながら摘果していく。「傷を見るのと、おいしそうな実を残すこと」というが、その「おいしそうな実」は、素人目には分からない。

 「収穫時季に一番単価が良いMサイズがそろっていたら正解。それで味がのっていたら最高。長年の経験が大事で、うちでは母親が一番摘果が上手。駄目出しされることもある」

 ミカン栽培歴は28年になるというが、最初のころは肩が凝ったという。「昔はアニメのキャラクターのように、腕が6本欲しいと思ったこともあった」と笑う。

 降雨を遮断して糖度を上げるため、地面にはマルチシートを敷いて栽培している。取材時は日照り続きで、翌日の雨予報に期待して、雨が地面に染みるようにシートをめくる作業もしていた。

 前田さんは「10日に1回はまとまった雨が降ってくれたらいいのだが、自然のことなのでなかなか思うようにはいかない。水分を絶つと糖度は上がるが、あまりに絶つと木にストレスがかかり過ぎて木が弱ってしまうし、そのせめぎ合いもある。今まで100点満点にできたことはない。毎年勉強の繰り返し。一生勉強は続く」と語った。

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